【2019秋】カカリ釣りの名手に学ぶ『クロダイ数釣り』4つの極意

【2019秋】カカリ釣りの名手に学ぶ『クロダイ数釣り』4つの極意

今季、チヌが絶好調に釣れているのが三重・的矢湾の三ケ所のカセだ。釣れるチヌのサイズも秋にしてはよく25~30cmを中心に、40cm超も飛び出している。そんな的矢湾へ足繁く通い、3ケタ釣果をたたき出す事もたびたびある名手・加藤哲朗さんに同行して秋の数釣りノウハウを取材した。

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(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村計吾)

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目次

講習会を兼ねての釣り

この日は、初心者や中級者向けの講習会を兼ねていたため、早朝は参加者のカセを回って指導をしていた加藤さんだが、「今回、私が乗るカセは昼からが本番なので、ゆっくりでも大丈夫ですよ」と話す。

参加者のカセを回って、ほぼ全員にチヌを釣って貰ったところで、釣り座を用意していたカセに戻ったのは正午近く。いよいよ加藤さんの釣りがスタートだ。

シラサエビ用ダンゴ

この日のダンゴは三重チヌパール(1箱)をベースに、速戦爆寄せダンゴ、濁りオカラ、荒びきさなぎ各1袋の配分。これに海水を加えてやや軟らかめに仕上げる。

これはシラサエビを多く使うためのダンゴだ。ダンゴを握りこむ時にシラサエビの角が当たって手が痛いので、水分を多くして簡単に握る事ができるよう設定している。

数釣りの極意その1

まずは手返しとダンゴについて。

ダンゴについて

加藤さんは、いとも簡単に配合する素材を自らの感覚で混ぜ込む。そして、混ぜるのもほどほどに、すぐさま海水を入れて混ぜる。ダンゴができ上がるまでに要した時間は5分もかからないスピードだ。

【2019秋】カカリ釣りの名手に学ぶ『クロダイ数釣り』4つの極意感覚で一定量を混ぜ込む(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

カセの上で1日に何回か作るダンゴは、制作に掛ける時間をできるだけ短くするのも数釣りのコツだとか。

とにかく手返し

「数釣りをマスターするにはまず手返しです。あれこれと考える間にどんどんダンゴを打っていきましょう」と、ポイント作りのダンゴを打ち終えた加藤さんは、早々にさしエサをダンゴに包んで落とす。

アンコの使い方に注目

ダンゴ使いについて聞いてみると「私の場合は、やや小さめのダンゴをとにかくたくさん打ちます」と言う。そして、実際にダンゴを握る時に重要なコツがあった。ダンゴの中心付近にハリの付いたさしエサを置き、周辺にオキアミやサナギミンチなどをアンコとする。

【2019秋】カカリ釣りの名手に学ぶ『クロダイ数釣り』4つの極意小さめのダンゴ(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

ここまでは通常のダンゴなのだが、加藤さんのこだわりとして、集魚効果を期待するアミエビやオキアミなど、その時に集魚としてもっとも必要な素材はダンゴの上部、つまりハリスの周りに埋め込むところだ。

【2019秋】カカリ釣りの名手に学ぶ『クロダイ数釣り』4つの極意アンコを入れる(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

即座に食わせる工夫

「これはダンゴが溶けて、さしエサが出る時に、まず集魚効果の高いアミエビがダンゴから舞い上がるようにする事で、さしエサが出る時には活性の上がったチヌが居て、さしエサを食わせるのに時間が掛からないため」だ。何気なくやっている作業だが、訳を聞いてみると深い意味があるのだ。

数釣りの極意その2

不必要に待つより、回収しよう。

送り込みと回収

ダンゴが着底したら、ややラインの張りを強くしてダンゴからエサが出るのを待つ。エサが出て、穂先が戻る瞬間にそれを防ぐように穂先を下げてさしエサが不自然に飛び出すのを待つ。そこからはラインを張らず緩めずで、潮に流される分だけ穂先で付いていき、潮下まで付いていったら竿を戻す分だけラインを出す。

待ち過ぎない

加藤さんは、その動作を比較的スピーディーに行った後、何度もしつこく糸を送らずに回収する。潮先までさしエサを送り込んで食わせるよりも、手返しを多くしてダンゴ成分の溜まるステージにチヌを呼び込んでこそ、数釣りが成立するのだ。

数釣りの極意その3

お次は「さしエサ」について。

さしエサのローテについて

当日のさしエサは、シラサエビ、オキアミ、サナギ、コーンを持参していたが、メインとなるのはシラサエビとオキアミだ。加藤さんと言えば、知る人ぞ知るシラサエビ使いの名手なのだが、「実際には、オキアミも多用するんですよ。シラサだけではおそらく3ケタ釣りは無理でしょう」と話す。

目先をかえる工夫

その理由は、シラサエビで釣り続けていると、シラサエビに対しての警戒心が出てくるためだ。チヌの目先をかえる意味でも、オキアミを使う。オキアミを使う理由はもう一つ、柔らかいので食い込みが早く、勝負が早い点だ。これも手返し重視の数釣りでは重要なファクターなのだ。

素早く食って貰うための工夫

さしエサに関して言うと、例えばローテーションの中で、シラサエビがコンとチヌの前アタリで取られれば、その次は同じシラサエビで頭部をカットして使う。生きたシラサエビをわざわざ死なせてしまう刺し方をするが不思議なのだが「先の1投でチヌがシラサエビに付いているので、食べやすく小さくしたシラサなら一発で食ってくる事が多いですよ」との事。

エビの脳ミソで誘惑

頭部カットの方法としては、頭と胴体に分けるようなカットではなく、ツメで頭部の真ん中辺り、ちょうど脳ミソの辺りをカットする。加藤さんは「これで脳ミソの成分が出てチヌの活性があがりそうでしょ」と笑うが、その答えは当日もすぐに出た。

【2019秋】カカリ釣りの名手に学ぶ『クロダイ数釣り』4つの極意即食いしてきたチヌ(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

シラサエビにチヌアタリが出て、素バリを引いてしまった次の一投は、頭部をカットして丸くハリに刺したシラサエビを使用。ダンゴが割れて、次の瞬間のフッとした小さなアタリで大アワセ。見事にチヌがヒットしたのには驚かされた。

通常、チヌアタリが出れば、穂先が押さえられた分を少し送り込んで、穂先がさらに大きく舞い込んだところでアワせるのがセオリーだが、エサを小さくし、シラサエビを食いに来ているチヌが居るのが分かっている状況なら、即アワセで食わせる事ができる。非常に効率的な釣りへの判断である。

次のページでラストの極意「タナ」を解説!