オキアミは、現代のエサ釣りには欠かせないエサだ。まきエサになる事も多ければ、さしエサにも使う。しかし、実は対象魚によったり、状況によってほんの刺し方の違いで釣果が大きくかわるのもオキアミ。あなたは何種類の刺し方を知っていますか?
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)
定番の釣りエサ「オキアミ」
釣りの世界にオキアミが登場したのは1970年代で、特に磯釣りなどにとっては、大革命となったのだが、そこから飛躍的に使用範囲が広がり、今ではエサ店では「置いていない店はおかしい」くらいに流通されているエサだ。
ちなみに釣りによく用いられるオキアミは、ナンキョクオキアミと言う種類がほとんどだ。エビに似ているので、釣り人も時々混同してしまうが、エビとは違った種類である。また、サビキ釣りで使用するアミエビなどは「オキアミの小さいもの」と認識している人もいるようだが、こちらも全く違う種類である。
さて、オキアミはフカセ釣りを始め、船、波止、カカリ釣りなどで非常に親しまれている。身が柔らかいため、投げ釣りなどでは投げた際に、ハリから外れてしまう事もあって使用される事はほとんどないが、それ以外の釣りジャンルではごくごく定番のエサだ。
オキアミエサの特徴
身が柔らかいので食いが良い反面、かじられて取られる事も多いのが、オキアミの特徴だ。そして甲殻類なので、柔らかいとはいえ、甲羅や角もあるため、繊細な魚になると、その刺し方で食いがよくなったり、悪くなったりもする。
オキアミを使った釣りをする上で、ハリへの刺し方は、釣りの工夫の一つとなり、ある程度、状況に合わせた刺し方を自分なりに身に付けておくと釣果アップに繋がる。ここではそんなオキアミの刺し方をいくつか紹介していこう。
1、船釣りで見られる定番の刺し方
オキアミをハリに刺す時に、もっとも普通にされているのが、オキアミそのままの状態で尻尾の部分からハリを入れる刺し方。これも釣りのジャンルで変化が見られる。
たとえば船釣りなどでは、深い場所まで仕掛けを沈めるために、ハリに付いたオキアミの水抵抗を減らしたい。そのため、オキアミは真っ直ぐになるように刺すのが一般的だ。バランスが悪くなったり、抵抗が大きくなるような刺し方にすると、海中でオキアミが回転して仕掛けやハリスがヨレる原因に繋がってしまう。
アピール重視の抱き合わせ
さしエサを大きくアピールしたい時には、「抱き合わせ」と呼ばれる刺し方を多用する。これは1匹のオキアミを真っ直ぐに刺したら、もう1匹のオキアミでお腹を合わせるように刺して、オキアミ2匹が腹を付けた真っ直ぐな状態になるように刺す方法の事だ。さらにアピール力を高めるために3匹刺しなどもあるが、刺すオキアミの数を増やすには、それなりにハリも大きくする必要があるので、大物狙いで使われる。
尾羽をカットする
ちなみに仕掛けを沈下させたり、回収したりする時に回転を防ぐため、オキアミの尾羽をきっちりとカットすると、より抵抗が減ってトラブルレスに繋がる。船宿によっては、乗船した最初の作業が、さしエサ用のオキアミの尾羽をハサミでカットすると言う場所もある。
2、フカセやカカリ釣りで定番の刺し方
フカセ釣りでグレのような口がやや小さいが、エサを吸い込むような魚を狙う時は、ハリを隠すように丸く付ける。全体をコンパクトにまとめるイメージだ。この場合、頭を付けたままにする時と、頭を取って胴体部分だけを付ける方法がある。
理由は頭を付けるとオキアミ自体が大きくなるため、吸い込みにくくなるためだ。ただ、アピール力も低くなるため、どちらがいいかはその時に試してみるのが良いだろう。つまり、「頭を付ける」と「取る」、この2つの工夫ができる訳だ。
チヌなど口がやや大きく、活性が上がれば一気にエサを食ってくれるような魚の場合は、船釣りと同様、真っ直ぐに刺しても食ってくる事はあるが、やはり、口の中に入りやすいように工夫してやる方がいい。
3、逆エビ反り的な刺し方
通常、オキアミは腰が曲がったような形で胴体部分が丸くなるようにできている。泳ぐ時は真っ直ぐだが、ピンッと跳ねる時に胴体部分を曲げて跳ねるのは、ザリガニやシラサエビなどのエビの仲間と同じだ。自然界で生きている内は、逆に反り返る事はないのだが、これをハリに無理矢理反り返らせるように付ける事がある。
硬い殻部分を内側に
エビの仲間の殻は胴体部分で言うと上部の殻が強く、脚がある方の殻は柔らかい。もちろん、脚を動かさなければ泳げないので、対応しているのだが、ハリに刺した時に、脚のある側を内に向けると魚が引っ張った時にハリから外れやすい。それを多少でも強くするために硬い上部の殻を内側に持っていく刺し方になる。
エサ持ちは多少よくなるが、食いが渋い時には食いきれない事もあるので、これもバリエーションの一つとして知っておき、定番の刺し方でエサが取られる時に試してみるといい。