高級魚として扱われているアマダイ。秋から冬にかけてが旬とされ、釣って楽しく、食べて美味しい同魚ですが、カラーバリエーションがあることをご存知ですか?今回は、アカアマダイ・キアマダイ・シロアマダイの3色をご紹介。
(アイキャッチ画像出典:PhotoAC)
目次
アマダイは全28種類!
アマダイは、スズキ目アマダイ科の海水魚の総称で、漢字で書くと「甘鯛」または「尼鯛」です。
「鯛」という漢字が名前にはついていますが、実際はタイ科ではなく、アマダイ科。
いわゆる「あやかり鯛」と呼ばれるサカナの一種です。
アマダイは世界中では3属28種の存在が確認されており、このうち日本には1属5種が棲息しています。
市場に姿を見せるのはアカアマダイ、シロアマダイ、キアマダイの3種であり、スミツキアマダイ、ハナアマダイはほとんど姿を見ることはありません。
では、次にアマダイの見た目の特徴や生態などをご紹介していきます。
見た目からして高級?
アマダイ全般に言えることは、体は細長く側扁し、額の部分が出ている特徴的なフォルムをしています。
このユニークな頭の形から、古書では「屈頭魚(くずな)」と記載されています。関西では、その訛りから今でもクジ、グジと呼ばれています。
また、 彩りは非常に美しく、体色は背ビレ側から腹側へ、赤から銀白色のグラデーションになっています。
さらに、眼の下には鮮やかな黄色、ヒレの一部がコバルトブルーが差し色となっており、見た目からも高級であることが伝わってきます。
アマダイの生態
アマダイの仲間は日本近海では青森県以南の日本海、千葉県以南の太平洋沿岸に、隣国の朝鮮半島南部や中国、台湾でも生息が確認されています。
生息している水深は30~200mあたりと種類によって異なりますが、砂泥底を好むところは共通してます。
砂泥底に巣穴を堀り、その穴に潜って棲み、巣穴の周辺を通るカニやシャコ、エビなどの小さな甲殻類や、ゴカイなどの多毛類を捕食し生息しています。また集団で巣穴を作るとされています。
また、縄張り意識が強く、巣穴に近づく生物には体当たりなどで威嚇することもある気の荒いサカナでもあります。
産卵は巣穴と関係のない浅場で行い、9月~12月頃、水深70m付近の海底で行います。
高価格の理由
町の魚屋さんや、スーパーの鮮魚コーナなどで立派な甘鯛を買おうとすると、高い値段のものばかりが目に入ってしまいます。
実際にアマダイの値段は高く、旬の時期になると1kg7000円で取引されることもあります。一般的に、「シロアマダイ、アカアマダイ、キアマダイ」の順で高価・美味とされています。
アマダイの身は半透明な白身で柔らかく、淡白ながら、ほのかな甘味と旨味がああり、他にはない上品な味わいをしています。
しかし、アマダイは他のサカナに比べて鮮度が落ちやすいため、味と鮮度、希少性などの関係から値段が高騰しやすい傾向にあります。
日本で食べられるアマダイについて
価格が高騰しやすいアマダイですが、市場に出回る3種類のアマダイは体の色でアカアマダイ、シロアマダイ、キアマダイと呼び名が変わります。
各アマダイの特徴をまとめてみました。
アカアマダイ
アカアマダイ(提供:TSURINEWS編集部)
アマダイの中で流通量が最も多く、私達がよく見るアマダイはこのアカアマダイです。
体が全体的に赤く、先にも記載しましたが、眼の下の鮮やかな黄色と、ヒレの一部がコバルトブルーに輝いているのが大きな特徴です。
また眼の斜め下に白い三角形のエリアがあるのも特徴の一つです。
体長45㎝前後になり、重さは1kg~2kg程度まで成長します。オスは最大で60cm弱、メスは45cm前後まで大きくなります。
生息域
水深30m~140mの砂泥地に生息しています。主な生息域は、青森県津軽海峡〜九州西岸の日本海・東シナ海、瀬戸内海、千葉県外房〜九州南岸の太平洋沿岸。東シナ海大陸棚、渤海、黄海、済州島、浙江省、台湾北部。
キアマダイ
キアマダイ(提供:TSURINEWS編集部)
3種類の中で最も流通量の少ない種類。
アカアマダイとシルエットや大きさは同じですが、アカアマダイよりも顔や尾びれが黄色いのが特徴。
また、眼から口先の方にまっすぐ白いラインが入っているで、この点でもアカアマダイとの区別をする材料になるでしょう。
身質はアカアマダイも水っぽいため、鮮度がより落ちやすいいことから、なかなか流通しにくいようです。また刺身にするにはよほど扱いが良く、鮮度が良いものでないと適さないのだとか。
しかし、加工食品としては向いているため、最近では干物などに加工されて流通しています。
生息域
水深が30m~300mの砂泥地を好み、アマダイ類の中ではもっとも深い場所に生息しています。主な生息域は、千葉〜紀伊水道・九州南岸の太平洋沿岸、若狭湾〜九州西岸の日本海・東シナ海。東シナ海大陸棚、朝鮮半島南岸、台湾、広東省、海南島。
シロアマダイ
アマダイの中でも最高級品とされているシロアマダイ。市場などではシラカワ(白川・白皮)と呼ばれることが多いようです。
大きさも最大60cm程度まで成長し、体の色が他の2種類よりも白っぽいのが特徴。
一般家庭で調理することはなかなかなさそうですが、新鮮なものほど赤みが強く、鮮度が落ちるとともに、見た目の色が白くなっていくので、もし選ぶ際はより赤いものを選ぶのが◎。
また、シロアマダイは他の2種に比べ、身に弾力があり、脂が乗っています。
もともと味の良いアマダイに、さらに芳醇な脂と歯ごたえが加わることが超高級品として扱われている理由でしょう。
生息域
水深30m~100mのアカアマダイよりも浅い砂泥地に生息しています。主な生息域は、鹿島灘、相模湾〜豊後水道の太平洋沿岸、若狭湾〜九州西岸の日本海・東シナ海、瀬戸内海。釜朝鮮半島、東シナ海南部、台湾、香港。
最近ではネットショッピングでも
アマダイの仲間は前述の通り、鮮度が落ちやすいため、なかなかスーパーなどで見かけることはありません。
もし見かけることがあっても、おそらくそのほとんどがアカアマダイでしょう。
港に近いスーパなどで20cmくらいの小型のアマダイが売られていることはたまにありますが、40cmを超えるようなアマダイが並ぶことはほとんどなく、そのレベルの大きさのものは料亭などに卸されていきます。
最近少しずつですが、アマダイの干物や切り身などを関東のスーパーでも見かけることが増えてきています。
また、ネットショッピングを使えば、ワンクリックで購入し、翌日自宅に届けることも可能になっています。
超高級品だったアマダイも少しずつ手の届く存在になってきているように感じます。
<近藤 俊/TSURINEWS・サカナ研究所>
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