朝晩に秋の訪れを感じるころ、海の中ではひと足先に季節が進んでおり、越冬に向けていろんな高級魚が荒食いを始める。多彩な価値あるターゲットを、近場からライトタックルで狙えるのがウタセ五目の魅力。お手軽、釣ってよし、食べてよしの3拍子そろったお得な釣りであるウタセ五目を楽しもう!
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 鬼頭佳嗣)
ウタセエビの付け方と活性の保持
ウタセエビを使用する際のポイントを解説する。
できるだけ小さなウタセエビを使う
まず、最初に声を大にして伝えたいことがある。できるだけ小さなウタセエビを使うことだ。これは本当に重要。小さいエサはハリ掛かりが抜群だ。大きいと一部だけかじられて終わりである。大きなウタセエビは中乗りさんへ生きたまま返せばいい。
鼻掛けではなく尾掛けにする
仕立船で大物を狙うウタセマダイと乗合船のウタセ五目は違う釣りだ。大きいウタセエビの口の辺りから脳ミソを避け、ツノでハリ先を止める鼻掛けはウタセマダイの釣り方である。ウタセ五目でそれをやると尻尾だけかじられてしまう。できるだけ小さなウタセエビを選び、尾バネを切ってそこからハリを入れてウタセエビがまっすぐになるようにする。
ウタセエビの活性の保持
ウタセエビの活性の保ち方
エアポンプを持参する
エアポンプのあるなしでは、ウタセエビの動きが相当違う。長時間元気を維持できるのだ。ここで注意したいのは、エアポンプを海水から守ること。塩は機器にとって大敵だ。私は防水機能を有しているエアポンプを使っているが、不意に海水を浴びることもあるので、チャック付きビニール袋に入れてホースだけ出して使用している。これで直接の塩害をかなり防ぐことができる。
海水をこまめに入れ換える
ウタセエビが配られる洗面器は直射日光で水温が上昇するので、新鮮な海水にこまめに交換する。そうすれば酸素も供給できる。
釣り方
誘い方は2パターンある。隣とオマツリしない範囲で仕掛けをふわりとたるませる「たるませ釣り」と、海底のへこみや穴にオモリを置いていく「探り釣り」だ。その日のヒットパターンに合わせることが釣果アップにつながる。
たるませ釣り
オモリの着底後、ふわりと仕掛けをたるませウタセエビを海中に漂わせてしばらく待つ。アタリがなければラインにできるだけテンションをかけないようにイトフケをゆっくり巻き取っていく。再度オモリを置き直すようなイメージで少しズラして同じ動作を行う。
探り釣り
カサゴ釣りの上下の探り釣りと似ているが、ドンドンと勢いよくオモリで海底をたたいて探ると魚がおびえてしまうので、オモリを置くような優しい操作が求められる。
リールをフリーにしたままスプールを親指で押さえて、サオを静かに上下させてオモリを置くように探っていく。オモリの着底後、枝間の70cmくらいだけ仕掛けを緩める。これによって仕掛けのテンションを解放して食い込みを向上させるとともに、下から2番目のハリも海底付近を自然に漂わせることができヒット率が上がる。
時々オモリが着底しない所があるので、そこを逃さずに親指を離して穴にオモリを落とす。海底の穴ぼこを探りつつ、最下バリの枝間70cmだけ仕掛けを緩める「縦の探り+少しふわり」のイメージだ。
アタリがなくても3分たったらエサを点検する
アタリがなくても3分に一度は仕掛けを上げてエサを点検する。「何も感じなかったのにエサがなくなっている」なんてことはしょっちゅうある。エサが付いていなければ、ハリ掛かりする魚も釣れない。面倒くさがらずに、こまめな点検を頑張ってほしい。
ウタセ五目は初心者やお子さんでも十分楽しめる上、小ダイをはじめとして高級魚が釣れて喜びも大きい。魚種も多様で、時にはタモが必要なくらいの大物が顔を見せる。何が釣れるか分からない楽しさがある。レジャーに適した季節、ご家族や友人を誘って秋の海を満喫していただきたい。
<週刊つりニュース中部版 鬼頭佳嗣/TSURINEWS編>