7月16日、釣友の井上さんの誘いで、愛媛県の宇和海へ落とし込み釣りに行ってきた。参加者は井上さんの他に、宮本さん、川田さんと私の4人で、釣りと思わぬアクシデントを楽しむ?釣行となった。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・濱堀秀規)
『落とし込み釣り』の概要
「落とし込み釣り」は、太いサビキ仕掛けのようになっている胴つき4~6本バリの仕掛けに、まずはエサとなる小サバや小アジを食わせる。そして、仕掛けをそのまま底付近まで落とし込んで、食ってきた小アジをエサにして待つ。すると大物の魚が食ってくるという釣り方である。
よく似た方法で、あらかじめ生きたアジなどをイケスに準備しておいて、それを1本バリに刺して底付近のタナまで持っていき、大物の魚に丸のみさせる「ノマセ釣り」がある。どちらの釣りも、生きた小魚を、大物の魚に食わせるという釣り方である。
最初のポイントは根魚
宇和島新内港を出船したこんぴら丸のジギング船がまず向かったポイントは、日振島と御五神島の中間辺りのポイントであった。落とし込み仕掛けで船長の指示ダナまで落として小サバを食わし、底から2mくらい上げたタナで待つ。すると、コ・コ・コンの後に、サオ先が曲がっていく。
アワセを入れて電動リールで巻き上げると、お目見えしたのはアヤメカサゴと白い色をしたオキメバルのダブルである。おいしい魚たちで幸先はいいのだが、本命ではない。他の3人も同じようにアヤメカサゴと、オキメバルを釣り上げては、「こんなん、いらん!」と海にお帰りいただいている。
私は何投目かにいいサイズのアヤメカサゴが釣れたので、これはクーラーへ放り込んだ。
釣友にブリがヒット!
船長は転々とポイントを移動していく。何回目かのポイントで、宮本さんが大物を掛けてやり取りするも、ハリ外れ。その後井上さんが大物を掛けるが、これもすっぽ抜け。
そして今度は、川田さんの大物の用のサオ・ゴウインが根元から満月に曲がり、海中に向かって絞り込まれる。ファイトする川田さんに、「大物、大物、慎重に。」、「無理せんでええけんな。」、「あと2~3回は突っ込むよー。」と声をかけた。
巻き込み防止の電動があと5mで止まったので、最後は手巻きで巻き取る。海中でキラッと魚体が光った。水面近くでクルッと回った魚は、船長の差し出すタモに一発で収まった。「やりー、ブリじゃ。」、「大物、スゴい!」、「これは、すばらしい-。」と声がかかる。写真を撮るので手で持ってください。」とリクエストするとそれに答えてくれたが、「重たーい。」と長くは掲げられない。
血抜きをして、氷を敷き詰めたクーラーに放り込まれた。クーラーの中で、魚は尻尾が折れ曲がるほど長い。お腹もぽってりして、立派な個体である。
「さあ、これから」というときに…
「移動します」のマイク放送でポイント移動中、ゴーン、ガガガッツという音と衝撃で船が止まった。船長が潜って船底を確認すると、大人の太ももくらいの太さで、子どもの背丈くらいある長さの流木が、プロペラに刺さっているらしい。
いろいろ試したが、刺さった流木は取れない。その間私たちは、由良半島まで漂流である。結局この流木は、こんぴら丸親船に日振島の喜路の港まで曳航してもらい、そこで無事外すことができた。
それにしても、釣り人は皆大人である。2時間釣り5時間漂流でも文句を言う人は誰もいない。それどころが「船長いい経験じゃな。トラブルをたくさん経験しておくほど、動じなくなるので、いい船長になるよ!」と励ましている。
宮本さんは「わしは、男女群島に行ったときに、船が燃えてその船が沈んだ経験もしとるしからなあ。」と余裕で構えている。他のみんなも「これ(流木刺さり)って、宮本さんが呼び寄せたの?」、「わははっ。」と冗談が飛び出るくらいであった。
冥土の自慢話
釣りでは川田さんが大物のブリを釣ってくれたし、かえって日頃は経験できないことが経験できてよかった。「じいちゃんはな…」と、孫たちや冥土に行ってからの自慢話のネタがまた増えた釣行となった。人生、イレギュラーほどおもしろいものはない。さあ、釣りはやめられません。
<濱堀秀規/TSURINEWS・WEBライター>
こんぴら丸