釣り船の上は、地上とは全く異なる世界。とはいえ、釣りをしてればお腹はすくもの。釣りの合間にパパっと食べられるもの代表は、やはり「おにぎり」。今回は、栄養士が勧める、船上で食べるおにぎりの具材を紹介します。
めんどくさいなんて言わせない
朝がとにかく早い船釣りにとって、お昼ごはんの準備は二の次。(同じ時間に起きてせっせとお弁当を作ってくれる有難い奥様がいらっしゃる方は別ですが・・)
短時間でさっと作れるものといえばやっぱりおにぎりではないでしょうか?
ラップにくるんでおけば、釣行中汚れた手でも気にせず食べれる万能なお昼ごはんとしても常備されている方も多いと思います。さらに、具材を変えることで楽しみが増え、釣れない時間を心穏やかに過ごすことができます。
今回はこれからの暑い季節にもってこいなおにぎりのり選を、栄養士の視点からオススメしてみたいと思います。
①定番の梅干おにぎり
おにぎりと言えば「梅干」。子供から年配の方まで、日本人なら誰でも聞くだけで唾液が出てくる、あの梅干に含まれているクエン酸には、腐敗菌の増殖を抑える効果があるため船釣りのお供として最適です。このクエン酸をごはん(炭水化物)と一緒にとることでスタミナを持続させるので、たくさんの食べ物を持ち込まずに済みそうですね。
梅干にはクエン酸とリンゴ酸など有機酸が含まれ、これらは体に溜まった乳酸を分解する作用があり疲労回復に効果があると言われています。長時間炎天下で釣りをするのは、慣れている人でも頭がボーっとしてきたり、熱中症の危険もありますよね。
大量の汗で流れてしまった水分・塩分を補うのに大切な栄養素が梅干には含まれています。
梅干に含まれる豊富なミネラルと塩分、さらにはクエン酸などの有機酸が夏の疲れた体を元気にしてくれ、釣果も伸びる?!と期待したいところです。
船釣りでもう一つ気がかりな「船酔い」。実は梅の成分であるピクリン酸、クエン酸が腎臓、肝臓の働きを助け、船酔いを解消すると言われています。
昔から乗り物酔いには梅干と教えられ、どこに行くにもカリカリ梅をバッグに潜ませていましたが、梅干おにぎりで解決できそうですね。
②おかかおにぎり
低カロリーで低脂肪な鰹節には、たんぱく質の他、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。
さらには、体内で作ることのできない9種類の必須アミノ酸(トリプトファン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン)をすべて含む優れた食品です。
必須アミノ酸の一つ、トリプトファンはリラックス効果や不眠を解消してくれる作用があるので、睡眠不足で状況が悪くストレスが溜まった時に、癒しの効果があります。
また、鰹節に含まれるペプチドが集中力をアップさせるパワーもあることから、ここぞという正念場には、必要なおにぎりになるかもしれません。
③納豆酢飯おにぎり
疲れに効くアスパラギン酸、ビタミンB群、肝機能を高めるメチオニンなどを含んでいるため夏バテに効果があるとされる納豆。さらにマグネシウムやビタミンB1を豊富に含む、栄養満点といわれる納豆ですが、汗で流れ出るカルシウムも豊富に含まれています。
そして、このカルシウムの吸収を助けるのがお酢。お酢に含まれる酢酸が体内に入るとクエン酸に変化し、胃酸とともにカルシウムを吸収しやすい形に変えます。暑い夏の日、水分だけでは補えない栄養素をおにぎりから美味しく吸収できますね。
納豆とお酢の組み合わせは良いとされ、血圧の低下や視力回復の効果があると言われています。納豆酢めしおにぎりで、小さなアタリも見逃さない!そんな視力アップを期待したいですね。
また、お酢が持つ力でよく知られるのが、疲労回復。お酢の成分である、酢酸と有機酸が体内で変化したクエン酸やアミノ酸には、乳酸を分解する働きがあるので梅干同様、肉体疲労に効果的です。
意外と不向きな食材は
おにぎりと言えば、海苔が当然のように頭に浮かびますが、海苔は食物繊維を多く含み消化に良くないため、船にはオススメできません。
たくさん食べなければ問題ないとされていますが、船酔いが心配な方はあまり食べない方がよいでしょう。
夏の船釣りは、上からの日差しと海からの照り返し、逃げ場のない暑さで普段冷房の効いた部屋で過ごす方には、体へのダメージが大きくなりがちですが、ちょっとの工夫で快適に船釣りを楽しむことができるので、ぜひ自作おにぎりを持って出かけてみては?
<山下/TSURINEWS・関東編集部>