京都・経ヶ岬沖では生きたイワシや小サバをエサにしたノマセ(泳がせ)釣りでいよいよ高級魚アコウ(キジハタ)が本番入り。根魚だけに粗い岩礁帯での釣りがメインとなるが、実はアコウ釣りは根掛かりが縁遠いもの。その理由に迫ってみたい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWS編集部・松村計吾)
ノマセアコウの3つの失敗策
アコウ狙いでやってはいけないことが大きく分けて3つある。今回、やりがちな失敗策を紹介。
①捨てイトが長い!
「捨てイト」や「捨てオモリ」と言う言葉をご存じだろうか。これは胴つき仕掛けの一番下のパーツの部分で、根掛かりが多発する岩礁帯での釣りでよく用いられる。オモリの上に細めのイトを入れることで、オモリが底に引っ掛かった時にそのイトが切れて仕掛けが助かるシステムだ。
具体的には経ヶ岬周辺の場合、ミキイトが6号前後なのに対して、捨て糸は3~4号を使用する。捨てイトの先に付いていて、引っ掛かれば切れて捨ててしまうと言う意味で、そのオモリの事を捨てオモリと言う。
さて、その捨てイト(=下バリとオモリの距離)を長く取れば、仕掛け全体が上になる。と言う事でハリが根に掛かるリスクを抑えるのだが、実はここにデメリットが生まれる。つまり、捨てイトを長く取ると仕掛けが上の方になるから、根魚を釣るためにエサを海底近くに持っていくには、オモリを海底に付けるくらいまで下げなければならない。つまりはオモリが根に掛かるリスクが大きくなるのだ。
そこで、ひと工夫。捨てイトを極端に短くしておき、底を取ったらハリス分くらいは上げてしまう。たとえばハリスが1mならオモリ自体も1m近く上げてしまう。これだけでオモリが根に掛かる確率はかなり低くなる。実際には捨てイトは短く、ハリスは長く…が理想型。
これで、オモリは上の層にあり、生きエサがやや沈みながら海底付近をフラフラと泳ぎ、漂うような演出をする事で、違和感なく食わせる事ができる。
②ガシラが釣れたら失敗である!
「根魚五目」とも言われるこのエリアのターゲットは、今回の主役であるアコウを始め、ガシラ、ウッカリカサゴ、ソイ、ヒラメ、青物、オキメバルなどなど多彩である。もちろん、いろいろな魚が釣れて楽しいのだが、初夏に釣りたいのはやっぱりアコウ。
このアコウという魚、ベイトによく反応する。ベイトが底よりも少し浮いた層にいれば、アコウもかなり上層で釣れる。実際、水深40mラインで、底から7、8mも上でいきなりアコウが飛びついてきた…という経験を何度もしている。もちろん、活性が低ければ、その限りではないが根掛かりをさせずに、アコウを釣る…という観点で見るとこれはかなり重要項目だ。
釣りのイメージとしては、底に近いタナで釣る時でも、起伏の頂点に生きエサのタナを合わせる。前述のように捨てイトが極端に短い仕掛けだと、この作業がかなりやりやすい。オモリが根にコツンとでも当たれば、それはタナが下過ぎる証拠。すぐさま数10cm上げる。で、時々、底を確認するために一瞬だけオモリを着底させるが、すぐに上げる。
この起伏の高さを確認するためには、個人釣座で魚探が使える探見丸システムがあると便利。ただ、確実にタナを上げておくと、上げすぎたとしてもアコウは食ってくる事が多い。この状態で食ってこないのは、底にべったりと引っ付いているガシラなど。
ガシラも美味しい魚だが、やはりアコウの方が釣りたいもの。ガシラが食ってくるようなタナだと、エサが底付近に入りすぎていると判断できる。アタリがあって、上げてみるとガシラ…次投からは着底から、上げる距離を長く取ってみよう。
そして、これも経験則からなのだが、上のタナで食わせるアコウほど大きい!
私自身の推測なのだが、基本的に海底付近にいるアコウもベイトを食べるために多少は泳ぎ上がってくる。が、大きなアコウほど敵が少ないので、上層まで泳いでエサを捕食するのではないか…と言う事。
③アタリが多いエサに固執するな!
もちろん、その日やポイントによって当たりエサは存在する。このエリアの場合、メインとなるエサはカタクチイワシ、小アジ、小サバなど。大きさも範囲が広く、カタクチイワシなら8~15cm、小アジ、小サバは10~15cmといったところ。
やはりサイズやエサも、その場で追いかけているベイトにマッチさせるのがベストだが、根魚五目釣りではいろいろなサイズ、種類のエサにいろいろな魚が食いつく。いわばどんなエサを使ってもアタリの多さはあまりかわらず、釣れてくる魚の傾向がかわるのだ。
で、すでにお分かりかもしれないが、狙いはアコウである。その時々で「ガシラがよくアタるエサ」ではなく、「アコウが反応するエサ」を使う必要がある。
「アタリがあるから」と言って、小型のガシラが連発するようなサイズ、種類のエサを使い続けるのはナンセンス!ここは素早く見切って、アコウが反応するエサを探すべし!
<松村計吾/TSURINEWS・関西編集部>
京都府経ヶ岬周辺