鳥羽周辺は昔から投げ釣りで狙うアブラメで有名である。厳寒期の2月からサクラの花が散るまでの間がハイシーズンで、カレイや乗っ込みチヌと合わせて狙うことができる。鳥羽周辺での投げ釣りは、佐田浜、安楽島、石鏡などの地方の堤防・地磯から狙うパターンと、答志島・菅島などの離島に渡るパターンがある。離島に渡ることで、地方では釣れないような40cmを超える大型アブラメ(アイナメ)を高確率で手中にできるのが魅力だ。
有名ポイント『グンカン』へ
4月20日の昼前に堺市の自宅を出発する。途中のエサ店でマムシとユムシを仕入れて、名古屋から来る釣友との待ち合わせ場所である近鉄鳥羽駅を目指した。
午後4時に釣友と合流して、鳥羽駅からすぐ近くの渡船が出る、伊勢湾フェリー岸壁に車を乗り入れた。車から荷物を降ろし、予定通り午後5時に渡船に乗り込み、菅島の「グンカン」に船をつけてもらった。
「グンカン」という名前は、砂利浜から突き出た岩が軍艦のように見えるからその名前が付けられている。
タックルとエサ
サオは投げ専用4.25mで大型スピニングリール。根掛かりを考慮してミチイトはPE5号の太イトとする。
オモリは遊動式30号、ハリは丸セイゴサーフ17号の1本バリで、ハリス7号を1mほどとったシンプルな1本バリ仕掛けである。マムシとユムシを付けて4本のサオを使った。
ポイント移動
仕掛けのセットが終るころには太陽が西の空に沈み、サオ先ライトの光が暗闇に輝く。期待感が膨らむが、最初に構えた釣り座の前には海草が群生しており、仕掛けを回収するたびにそれに引っ掛かってしまう。
釣りづらい上に、大物が掛かった時にはこのシチュエーションでは取り込むのが難しいだろうとの判断で、釣り座を思い切って300mほど移動してみた。
投げ釣りの重いタックルを担いで300mの二往復は、なかなか過酷な作業であった。
ユムシに45cmクロダイ!
移動した場所は前に海草が無く、比較的釣りやすい。すると投入したサオの1本のサオ先が少し揺れた。エサ取りかとしばらく様子を見るが、その後は反応が無くなった。そこでエサの点検をしようとサオを煽ると、予想に関して強い生体反応。
グングンとサオ先を叩くようなタイ系の引きがダイレクトに伝わる。不意を突かれたが慌ててドラグを締めて体制を整える。どうやら居食いしていたようだ。
手前のカケアガリに食われそうになりながらも、波打ち際に姿を見せたのはシルバーメタリックが綺麗なチヌ(クロダイ)である。メジャーを当てると45cm。本命のアブラメではないが、ボウズを逃れて一安心。
ユムシにヒットしたので、4本のうち3本をユムシ、1本をマムシに変更した。
60cm級マダイが2発!
するとしばらくして今度が左のサオが叩かれてドラグがジ~!
渾身の力で合わせると、先ほどのチヌ以上の重量感と引きが伝わってくる。途中でリールを巻く手が止まるくらいの激しい引きを見せてくれたのは、予想外のマダイだ。
鳥羽周辺では30cm前後は何度か釣ったことがあるが、このサイズにお目にかかるのは初めてである。慎重に寄せる波に乗せて砂利浜にずり上げる。メジャーを当てると60cmを超えている。
もうこれで十分という気持ちと、本命のアブラメを釣りたい気持ちが交錯しながら、のんびりとリクライニングチェアーに座りながらサオ先を眺める。すると今度はマムシを付けたサオから同じような大きなアタリが!今度は余裕を持ってやり取りをしてランディングに成功。
サイズはややダウンするものの56cmの良型マダイであった。
釣友にはマゴチが
この時点で午後9時半。今夜はどれくらい釣れるのかと期待感がさらに膨らむが、その後は潮が引いて砂利浜が広がるにつれてアタリは途絶えてしまった。
同行した名古屋の釣友はサバの切り身で45cmのマゴチを釣ったが、マダイ、チヌ、アブラメは不発。
やがて夜明けを迎え、今度はアオイソメを使ってカレイやシロギスを狙うものの、残念ながら手中にすることはできなかった。やがて鳥羽市内からの渡船の姿が見えてきたので、午前8時に納竿とした。