伊藤さとしのプライムフィッシング。その日その釣り場で最良の釣りを目指す。1か月をメドに釣り方、エサ紹介などを伊藤の実釣を交えて解説する第16回。今月のテーマは「グルテンを使ってみよう。」昨今は両ダンゴからいきなりウドンセットに切り替えてしまいグルテンを触ったことがないなんて人もいるとかいないとか。そこでグルテンの基本をもう一度ここでおさらいしてみよう。テーマ最終回は向き・不向きについて考えてみよう。
グルテン釣りにおける向き不向き
いよいよテーマ最終回を迎えます。最後は何を紹介してもらえるのでしょうか?
「グルテンの釣りにおける向き不向きについて考えてみようか。」
面白そうですね。ではまず不向きからお願いできますか?
「ジャミが多い時。これはもうグルテンでは釣りにならないから、両ダンゴとかにしたほうがいいよね。」
なぜグルテンではダメなのですか?
「多かれ少なかれグルテンには繊維質があるでしょ。これがよくない。繊維質があると、ジャミがそれを引っ張るように食い散らかす。ウキが動きっきりになるのはそのせいだよね。だけど繊維質が抜けてしまえば、グルテンの長所でもあるエサ持ちのよさは発揮されない。従って繊維が抜け始めた段階でエサもすぐにハリから抜けてしまう。ジャミがいるとエサが持たないなんて言われるのはこのためだよね。」
それがダンゴなら平気なのですか?
「ブレンドやタッチにもよるけど、基本的に両ダンゴにはグルテンのような繊維質は存在しない。だからジャミが突っついても表面が剥がれていくだけで、エサの中(芯)が一気に崩壊しない。しかもバラけるタッチにしておけば、なおのことジャミは拡散した粒子を食べるからエサの芯を直接攻撃してこない。だからウキが動きっきりにならない。まあ机上の理論はこんな感じかな。」
ジャミでウキが動きすぎると、かえって釣れる気がしませんしね。
「そうだね。だからジャミが多いと最初から分かっているなら、グルテンを先に使用するのは控えたほうがいい。」
グルテンを使用するタイミングとは?
先に?では後からなら大丈夫なのですか?
「ヘラを寄せる目的で両ダンゴで打ち始めて、ヘラが寄ってきたら両グルテンに切り替えるってことは多々あるよね。通常、ヘラが寄ればジャミはエサから遠ざかるかアタリを出さなくなる。」
そのまま両ダンゴを打ってはダメですか?
「春はまだ水温が上がりきってないから、両ダンゴだと触りだけで食ってこないことがよくあるんだよ。だからグルテンは必ず作っておきたいよね。」
ほかに不向きな点は?
「夏場かな。水温が高い時期にグルテンを打ってもまず釣れない。または釣れてもたかがしれているかな。」
なぜですか?
「たとえば釣り場が空いていて、近くに麸エサを打つ人がいないならまだいいけど、何人かでもいたら魚は麸のほうに寄ってしまう。つまり寄せ負けてしまうってこと。」
グルテンでは寄らないのですか?
「夏場のヘラって、麸系統の粒子を好む性質があるんだ。ところがグルテンにはそのような成分がない。あってもマッシュだから集魚力では麸系に負ける。まあやってみれば分かるけど、まず夏場にグルテンは釣れないね。それにやる意味も薄いしね。」
では反対にグルテンがいい時って?