年の瀬が近づき、街の歩調までせわしなく感じられる12月13日。狙いを根魚に定め、三重県箕田の消波ブロック帯へ向かった。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・HAZEKING)
カサゴをエサにカサゴを釣る
根魚釣りの王道といえば、やはり穴を直撃する釣りだ。雑食性ゆえエサの選択肢は幅広く、アオイソメ、魚の切り身、甲殻類など実績はいくらでもある。ただ、最も安定感があるのは生エサだろう。
消波ブロック帯(提供:TSURINEWSライター・HAZEKING)実は前回、うっかりエサを持参し忘れ、やむを得ず釣れたカサゴをその場で捌き、内臓を使うという苦肉の策に出た。ところがこれが思いのほか効き、短時間でつ抜けを達成。偶然か、それとも必然か。その答えを確かめるための再訪である。
アオイソメで18cmカサゴ
潮回りは小潮。釣りを始めたのは午前6時だが、干潮と重なり活性は低い。御在所岳では初雪が観測され、水温は一気に下がった。回遊魚はすでに姿を消し、奥伊勢湾のサワラゲームも終盤戦に入っている。条件は厳しいが、まずは比較のため定番のアオイソメを使用し、沖側に点在する実績穴を一つひとつ丹念に撃っていく。
カサゴゲット(提供:TSURINEWSライター・HAZEKING)やがて竿先にわずかな変化が現れたが、反応は弱く、触れては離すような曖昧なものだ。軽く誘いを入れ直すと、ようやく重みが乗った。真下へ突っ込む力強さをいなし、慎重に主導権を握る。浮上したのは18cmのカサゴ。背びれの棘がわずかに逆立ち、身構えるような色合いを見せている。その鋭さ一つひとつが、岩の隙間で生き延びてきた証のように思えた。水温低下の影響は明白で、アオイソメでも数分待たせて、ようやく口を使った一尾だ。
カサゴの内蔵をエサにする
しかし後が続かない。魚はいる気配があるものの、仕掛けを落としても反応が返ってこない。違和感を察して見切っているようだ。ここで本命の検証に移る。先ほどのカサゴを捌き、内臓を取り出す。エラを除外し、最も形が保たれる胃袋部分を選んで針掛けした。
水中ではふわりと漂い、存在感のあるシルエットを描く。潮を受けやすいため、落下速度を意識しながら慎重に沈めた。
20cm級カサゴがヒット!
水深はおよそ4.3m。着底を確認し、ゆっくりとリールを巻いて誘いを入れた瞬間、明確な衝撃が走る。消波ブロック中段の横穴から飛び出し、奪い取るように食ってきた。ラインが横へ走り、サイズアップを確信。そのまま強引に引き抜いた。
カサゴでカサゴを釣る(提供:TSURINEWSライター・HAZEKING)姿を見せたのは20cmクラスの良型。抜き上げた腕に残る重さが、先ほどとは明らかに違う。体長以上に詰まった質量が、この魚の強さを物語っていた。
同じ内蔵エサで4匹手中
その後も反応は途切れ途切れながら続き、同じ内臓エサで4匹を連続キャッチ。十分な手応えを得たところで竿を畳んだ。今回、カサゴの内臓をエサに用いた穴釣りでは、明確な反応と再現性のある釣果を得ることができた。
水中での自然な漂いと高い耐久性が大きな強みだ。冬場の渋い状況に直面した際、思い出しておきたい選択肢の一つである。
<HAZEKING/TSURINEWSライター>
箕田の消波ブロック


