春の訪れとともに、紀北エリアでもキス釣りの兆しが見え始めた。厳冬の影響で出足は鈍かったが、4月中旬からチョイ投げや遠投で良型の釣果が確認されている。本記事では、早場の狙い方や実釣の様子、今後の展望までを詳しく紹介する。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・牧野博)
紀北エリアでキス釣り
今年もキスが動き出す季節がやってきた。早場のキスは気まぐれで、冬の海況(特に水温の推移)によって釣況が大きく左右されるため、狙うのは難しい。しかし本格シーズンを前にキスの気配を感じられるだけでも嬉しいものである。
特に今季は2〜3月の寒さが厳しく、冬場のキスの釣果は低調だったが、ここにきてようやく気配が感じられるようになってきた。4月19日〜27日にかけて、チョイ投げや通常の投げ釣りでキスの動きを確認することができた。

超早場キスの狙い方
ここからは、早い時期にキスを狙う際のタックルと狙い方を説明する。
チョイ投げタックル
筆者は中古ロッドを購入し、柔らかめのジギングロッドのガイドをすべて取り外して投げ竿用のKガイドに交換したり、サクラマス用ロッドのバットガイドをダブルフットのローライダーガイドに替えたりと、投げやすくカスタマイズしている。
最近のシーバスロッドなどは素材性能が向上しており、投げ竿と比べて細身で軽量なルアーロッドは扱いやすい。女性や筆者のような60代中盤のアングラーでも軽快に扱えるのが魅力だ。

リールで飛距離に差が出る
チョイ投げでは小型スピニングリールを使う人も多いが、PEラインの細番手が主流となり、ロッド素材の反発力も高くなったことで、同じ仕掛けでもリールの性能で飛距離に大きな差が出る。特に、口径の大きな投げ専用リールのほうが安定した遠投がしやすい。
ただし問題となるのが、ルアーロッドとのリールシートの適合性である。中〜小型リールを想定した設計が多く、投げ専用リールの脚が大きすぎてセットできないことがある。
最近では軽量・コンパクトな投げ専用リールも増えており、ルアーロッドとのフィット性にも配慮されていると感じる。筆者が主に使用しているのはダイワの「キャスティズム25(ATD)」だ。
遠投タックル
遠投で狙う場合は、砂浜海岸や防波堤、河口部の護岸といったポイントが多くなる。こうした場所は水温の変動が大きいため、魚が寄りやすいのは沖目となる。
ちょっとしたカケアガリや変化のある場所を広く探るためにも、自分の体力と技量に合った、できるだけ軽量で遠投性の高い竿を選ぶのがよい。筆者はダイワの「スカイキャスター33号」を愛用している。

キスのポイント
チョイ投げでも遠投でも、目安となるのは冬季や低水温期にキスの実績があったポイント。
チョイ投げの場合は、風裏になる場所や水深のある波止など、水温が比較的安定している場所が狙い目だ。あるいは周辺より少しでも水温が高くなりそうなエリアを推理しながら攻めていくとよい。
一方、防波堤や砂浜海岸、河口部の護岸などオープンな釣り場では、ある程度の遠投が必要になる。
早場キスの面白さ
この時期は水温がまだ低く、寒暖差も大きいため、型を見るのも難しいことがある。
チョイ投げであっても、できるだけ沖目のポイントを狙い、キスの動きが鈍いことを踏まえたスローペースのリールさびきが有効だ。時折仕掛けを止めるようなゆっくりとした誘いが効果的である。
早期は良型が出ることも
数釣りは難しく、3点・4点掛けは少ない。仕掛け回収時にはリーリングスピードを一定に保ちつつ、手前のシモリに注意して丁寧に取り込みたい。チョイ投げの場合、仕掛け全体が軽量なため、前触れのアタリが手元によく伝わる。
わずかな違和感を感じたら、仕掛けを一瞬止めるか、さびく速度を落として魚にしっかり食い込ませる。次の明確なアタリで合わせると、キャッチ率が上がる。もちろん、アタリだけで終わることも多いが、それもまたスリリングで面白い。
早期には良型が混じるのも魅力だ。前年に生まれた個体が越冬しているため、夏場や秋口に見られるような極小サイズは少ない。高水温期のようにアタリが頻発するわけではないが、良型が釣れた時の満足感はひとしおだ。
