サカナの「嗅覚」は犬にも匹敵する? エサを探す以外にも危険察知にも鼻を利用

サカナの「嗅覚」は犬にも匹敵する? エサを探す以外にも危険察知にも鼻を利用

皆さんは魚にも「嗅覚」があることを知っていますか?もしかしたら、魚に鼻があることすら気づいていないかもしれません。実は、私自身も「鼻があること」に気づかなかった1人です。釣り餌の強烈なにおいを嗅いで「もしかして魚には嗅覚があるのでは……?」と気づきました。そこで、「魚の嗅覚」についてまとめてみました。

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サカナト編集部

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魚はにおいを嗅いでいる

魚には、においを嗅ぐための鼻(鼻孔)があります。といっても、人間の鼻のように呼吸をするための機能はありません。あくまでも嗅覚に特化した器官であり、呼吸はエラを通じて行われます。

サカナの「嗅覚」は犬にも匹敵する? エサを探す以外にも危険察知にも鼻を利用ピラニアの鼻(提供:PhotoAC)

魚の鼻は頭部にあり、両目のちょうど中間あたりです。頭部をじっくりと観察してみると、左右に2つずつ、合計4つの鼻の穴が見つかります。

「どうして鼻の穴が4つもあるの?」と疑問に感じる人もいるかもしれませんが、2つの穴が前方と後方につながっています。前方の穴から入った水が後方から抜けていくことで、においを感じ取る仕組みになっているのです。

何のためににおいを嗅ぐ?

魚の嗅覚は、視覚に匹敵するほどの重要な感覚器官です。深海や濁った水中のように視界が悪い環境では、嗅覚を頼りにエサを探しています。

魚類の味覚のメカニズムを分析する研究成果によると、魚の嗅覚は犬と同程度に発達しているといいます(嗅覚とそのメカニズム)。

サカナの「嗅覚」は犬にも匹敵する? エサを探す以外にも危険察知にも鼻を利用フグの鼻(提供:PhotoAC)

釣り餌のにおいに反応する魚たちの様子を見ると、たしかに嗅覚の鋭さには納得できます。

ただし、魚が嗅覚で判断できるのは、あくまでも「においの先にエサがあるかもしれない」ということ。エサとして食べるかどうかは味覚で判断しており、まるで味見をするかのように口から出し入れする様子が見られます。

魚の嗅覚が重要な理由

魚が嗅覚を利用するのは、エサを探す場面だけではありません。

例えば、サケの仲間は嗅覚を頼りに産まれた川へと戻ります。これは、川の植生や地質によって、水のにおいが異なるからだと言われています。大海原から迷うことなく帰ってくるサケの凄さは、自分の鼻では想像すらできません。

サカナの「嗅覚」は犬にも匹敵する? エサを探す以外にも危険察知にも鼻を利用サケの鼻(提供:PhotoAC)

さらに、においで危険を察知する魚もいます。理研の研究結果によると、ゼブラフィッシュは傷ついた仲間が発するにおいから「捕食者の存在」を察知するそうです(ATPのおいしそうな匂いに誘われて-理化学研究所)。小さな魚たちの生存戦略にも、嗅覚が役立っている訳ですね。

魚も鼻が利く

普段、魚の鼻や嗅覚を意識することは少ないかもしれません。しかし、魚にとって鼻はエサを探すだけでなく、周囲の状況把握や危険察知にも役立つ重要な器官です。

サカナの「嗅覚」は犬にも匹敵する? エサを探す以外にも危険察知にも鼻を利用フナの鼻(提供:PhotoAC)

人間からするとにおいは空気中に漂っているイメージがありますが、水中の世界にも広がっているのです。今後魚を見る機会があったら、ぜひ「鼻」にも注目してみてください!

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<taku/サカナトライター>