ソコダラ科の魚は深海に生息するタラ目の一種で、異質な形状から一般的には食用として注目されません。しかし、実際には非常に美味しく、特に代表種の「イバラヒゲ」は刺身で絶品です。本記事では、ソコダラ科魚類の美味しい食べ方を紹介します。
(アイキャッチ画像提供:椎名まさと)
そのほかの料理
ソコダラ科の魚は白身で用途が広いです。今回は刺身をご紹介しましたが、同じイバラヒゲを使った洋風料理ムニエルもなかなか美味なものでした。
ほかの種類は、マダラと同じように鍋物にしたり、身を揚げ物にしたりと、意外にも用途が広いといえそうなグループです。このほか前述のように練製品の原料とされることもあります。
グリーンランド近海ではCoryphaenoides rupestris Gunnerus,1765という深海性のソコダラ科ホカケダラ属の魚を漁獲し、フィレーとして製品化しているといいます。
なお、岡村ほか編(1995)ではこの種の和名に「シロダラ」という名称を使用していますが、この和名は尼岡ほか編(1990)においてMora moro(Risso,1810)と呼ばれるチゴダラ科魚類の和名としても使用されております。
複数の種に同じ和名が使用されるというのは混乱を招くおそれがあります。
筆者は海外の魚にも標準和名をあたえるべき、海外産の魚類につけられた名前であっても基準となる標本がありしかるべき方法で提唱された和名は標準和名とみなすべきと考えていますが、このような問題は多くあります。できるだけ早いうちにこの問題を解決すべきでしょう。
小型のソコダラの仲間を食べる
ソコダラ科魚類のうち、サガミソコダラやネズミダラといった成魚でも小型の種・または小型個体については衣をつけて唐揚げにして美味しく食べられます。しかしながら、個性はなくなります。
ソコダラの仲間を美味しく食べよう
ソコダラの仲間は極めて美味で、多くの部位を食すことができ、かつ様々な料理に使えるにもかかわらず、深海釣りではあまり利用されない魚といえます。ですが、とても美味しいものでした。
最近は深海の魚も以前と比べて購入するのが容易になりました。ぜひとも購入したり、あるいは深海釣りなどでソコダラ科の魚を入手して食べてみて欲しいと思います。
参考文献
・青木淳一・奥谷喬司・松浦啓一編著.2002.虫の名、貝の名、魚の名 和名にまつわる話題.東海大学出版会,東京.242pp.
・尼岡邦夫・松浦啓一・稲田伊史・武田正倫・畑中 寛・岡田啓介編.1990.ニュージーランド海域の水族.深海丸により採集された魚類・頭足類・甲殻類.海洋水産資源開発センター,東京.411 pp.
・中坊徹次編. 2013.日本産魚類検索 全種の同定 第三版.東海大学出版会.秦野.
・Nakayama N. 2020. Grenadiers (Teleostei: Gadiformes: Macrouridae) of Japan and adjacent waters, a taxonomic monograph.Megataxa 003 (1): 001~383.
・岡村 収・尼岡邦夫・武田正倫・矢野和成・岡田啓介・千国史郎編.1995.グリーンランド海域の水族.深海丸によって採集された魚類・頭足類・甲殻類.海洋水産資源開発センター,東京.435pp.
<椎名まさと/サカナトライター>