オイカワのテンカラ釣りは、河川の水温が低下する冬季に入ると、非常に難しくなります。理由はオイカワの活性が低くなるからで、水面に毛バリを浮かべても、魚体の上を通過するだけで無反応なんていうことも、しばしば。水温が安定している河床に堆積した葉などの裏に越冬で隠れてしまうと、もうアウト。では、まったく釣れないのかというとそんなことはなく、温排水が流れ込んでいるポイントを狙えば、楽しめます。さあ、釣り場へ向かおう!
温排水流入ポイントとは?
温排水とはなんでしょうか?
淡水域では、下水処理場の処理水が河川に流れ込む場所などがあげられます。冬場でも毛バリでオイカワを釣っている筆者が、足繁く通う釣り場を例示しながら、なぜこのポイントが良好な結果をもたらすのかを解説しましょう。
処理水は汚い?綺麗?
その釣り場の川沿いには、日々の生活の中で市民が排出する汚水を処理するための「浄化センター」という下水処理場があります。
浄化センターは、各家庭や事業所のトイレ、風呂などから排出された汚水を集め、微生物の働きを利用してきれいな水に戻し、河川へ流す施設。この処理水が釣り場に流れ込んでいる場所が温排水ポイントです。
参考までに、浄化センターから河川に放流される処理水のBOD(水の汚れを示す指標の一つ。数値が高いほど水が汚れている)は、水1リットル中2mg以下。もちろん国が定めた環境基準値内です。
水生生物の生息環境として維持することがのぞましい基準として、日本水産資源保護協会が定めているサケ・マス・アユの自然繁殖条件としてのBODも2mg以下と決まっています。
このことからも浄化センター処理水が、とてもきれいだということがわかります。だから、下水道処理水の放流口近くで釣るの?と水質を不安視しなくても、大丈夫です。
河川水との温度差10度!
排水が河川に流入しているところなら、呼び方は排水ポイントでもいいでしょう。
しかし、あえて温排水と強調しているのは、冬季における放流水と、合流する河川水の水温に大幅な温度差があるからです。
ちなみに、1月4日に測定した河川の水温は7度、それに対して浄化センターからの放流水はなんと17度!河川水は手が切れるような冷たさですが、処理水はぬくぬくです!
ユスリカのスーパーハッチも!
温排水ポイントは前述のとおり高水温なので、冬場になると、周囲から魚が集まってきます。
高水温は水生昆虫の生育を助け、それが結果的にオイカワなど小魚を集める要因の一つにもなっているようです。
浄化センターの温排水流入ポイントでは、ほぼ1年中、ユスリカの羽化が見られ、水生昆虫の羽化が乏しい冬でも、ユスリカだけスーパーハッチするという現象も起こります。