遊心丸でジギング釣行
令和6年元旦の能登半島地震により、甚大な被害を受けた石川県・能登。外浦では海岸線が隆起し、港の護岸が崩れ船が止められなくなっている所も多くある。まだ完全復興には程遠い状態だ。
そんななかでも前を向いて営業している遊漁船の情報を発信できたらと思い、今回記事を書かせていただこうと思う。
時は5月5日。GWの能登の海には、快晴で気温も安定するという予報が出ていた。朝から沖に出ると、波は穏やかで微風という状況。久々の青物狙いということで、食う条件を探っていく。
本来この時期のブリであれば産卵後ということもあり、体力を回復させる途中でスルメイカの子など遊泳力が弱く、食べやすいベイトを潮目に追い込んで捕食しているということが多い。そういったときはグロー系カラーのセンターバランスのジグのワンピッチに反応が良い。
しかし、船長によると最近は15cmほどのマイワシが入っており、それを追いかけてワラサ、ブリが入っているとのことだった。ブリがイワシなどのベイトを追う際、シルエットを見てベイトの頭に向かって突っ込んでいくという習性がある。そこでシルエットもカラーもベイトに近いと考え、ケイタンジグSTD150gのオーロラシルバーから開始した。
ワラサクラス3連続ヒット
着底させてジャカ巻きとワンピッチで探っていく。だが、しばらく探ってみるが反応なし。日が上がってきて1匹も上がらず、船中でもまだ魚は釣れていない。ここでジグをbeatのブースF160gゼブラシルバーにチェンジ。
船長から「今日イチのデカい反応!」とアナウンスが入った。ちょうどいいタイミングで私の投入したジグが着底したので、イトフケを取りワンピッチジャークで探っていると、ズシッという重さがロッドに伝わった。
すかさず3度ほどガッチリとフッキングし、ゴリ巻きファイトに持ち込む。首を振ってガンガン暴れるが、最後までゴリ巻きをかまして上がってきたのはワラサ。ここがプチ時合いだったのか、3連続キャッチ。いずれもワラサクラスだった。
隣はブリを上げていたが、自分の腕ではブリまで程遠いようでワラサが精いっぱいだ。すると、沖を見ていた船長がナブラを発見。すぐ船を走らせた。
キャスティングは不発
その走行中、海面を泳ぐブリの姿が何度か確認できた。これは釣れるぞ!とキャスティングタックルを手に、ポイント到着と同時にダイビングペンシルをナブラめがけてキャスト。
しかし、どうやってもキャスティングでは食わせられず、ナブラは船から離れてしまった。普通のジギングでも反応はない。釣れないかと思われた時、隣がライトジギングでヒットさせた。ロッドがグングン絞り込まれ、ラインもかなり出されている。上がったのはやはりブリだ。
これを見て、私もライトジギングタックルに持ち替える。TGベイト100gをセットし、着底から速巻きのストップ&ゴーを試す。だが私には食わせきれず。横で同じ釣り方で、バンバンワラサとブリを掛けていた。
船中お祭り状態に
たまたま私はシルバー系のカラーの持ち合わせがなく、船長にお願いしてジグを借りることにした。これが180度変わる結果となった。
船長にTGベイトのシルバーを借りた1投目、ジグを速巻きからストップさせた瞬間、イトが止まり次の巻きに入るとズシッ。ここでしっかり巻きアワセを入れる。軟らかいロッドが満月を描き気持ちよく絞り込まれる。こういったライトジギングで青物を掛けるのも、楽しみ方のひとつだ。
巻いては出され出されては巻きを繰り返し、ようやく上がってきたのはワラサ。ベイトがマイワシからカタクチイワシの10cm前後に変わったようで、ここから小さいジグの独壇場となった。
誰かが魚をヒットさせると、他の人が回収する時にその人にもヒットするというまさにお祭り状態。1匹ずつ丁寧に仕留めていき、時間がきたので納竿となった。
最初はヒヤヒヤしたものの、後半なんとか楽しめる程度に釣れるという状況に、今回もひとついい修行になったと感じられる釣行となった。震災の復興もまだまだだが、これからも能登の海に釣りに通いたいと思う。
<週刊つりニュース中部版APC・三野心/TSURINEWS編>