魚とキャベツを一緒に煮ると生臭さが消える 嫌な臭いが消える理屈とは?

魚とキャベツを一緒に煮ると生臭さが消える 嫌な臭いが消える理屈とは?

魚を調理するときに悩みのタネとなる「生臭さ」。臭みを消す方法はいくつかありますが「野菜と煮る」というのも有効な手段になりえます。

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サカナ研究所 その他

淡水魚の泥臭さを「カラシナ」で消す

先日、とある仕事で「琵琶湖でとれた淡水魚でラーメンのスープを作る」というミッションに挑む機会がありました。

海で採れた魚であればさほど考えなくても、煮込んでスープを作る事はできるのですが、淡水魚で作るとなるとどうしても独特の臭みが気になることがあります。この時採れた魚はニゴイやスゴモロコといったコイ科の雑魚であったため、なおさら注意しなくてはいけませんでした。

魚とキャベツを一緒に煮ると生臭さが消える 嫌な臭いが消える理屈とは?ラーメンスープの材料(提供:茸本朗)

加えて依頼主からは「魚以外も『野で採れたもの』をできるだけ使ってほしい」というリクエストがありました。つまりハーブ類やネギ、にんにくの類を使うこともできないわけです。

悩んだ結果、この時は「カラシナ」という野草を用いることでこの難問をクリアしました。カラシナは名前の通り辛子のような強い香りがあり、これが淡水魚の臭みをうまくごまかしてくれたのです。

「キャベツ」も臭い消し効果あり

さて、このカラシナは「アブラナ科」というグループに属しています。このグループには多数の野菜類が含まれていることで知られていますが、もっとも有名なものはきっと「キャベツ」だろうと思います。

となればキャベツでも魚の臭みを消すことができるのでは? と思うのが自然ですが、実際のところこれは可能です。淡水のコイ科魚の臭みを消すのはさすがに難しいですが、海水の魚であればキャベツと一緒に煮たら臭みが気にならなくなります。

魚とキャベツを一緒に煮ると生臭さが消える 嫌な臭いが消える理屈とは?キャベツ(提供:PhotoAC)

おすすめの調理法は「水炊き」です。適当にぶつ切りにした(白身魚が特に良い)を水からぐつぐつと煮て、魚が柔らかくなったところでやや大きめの一口サイズに切ったキャベツを入れて、さらに豆腐やキノコなどお好みの具材を入れて火を通せば完成。ポン酢で食べるのがおススメです。

臭いが消える理屈とは

しかしなぜ、カラシナやキャベツで魚の臭さが消えるのでしょうか。その理由は、これらアブラナ科植物が持っている「アリルイソチオシアネート」という成分にあります。

このアリルイソチオシアネートは、辛子やワサビなどに含まれる辛み成分として有名ですが、アブラナ科植物にはこれを含むものが多いです。この成分には魚の臭み成分であるトリメチルアミンの発生を抑制する力があり、一緒に調理することで生臭みが出にくくなることが期待できます。

魚とキャベツを一緒に煮ると生臭さが消える 嫌な臭いが消える理屈とは?タカナ(提供:PhotoAC)

野菜であればキャベツのほか、辛みの強い大根やカブなどでこの効果を期待できますが、特に良いのは「タカナ」です。タカナはカラシナを改良して作られた野菜であり、アリルイソチオシアネートの含有量が多いとされています。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>