「右カレイ・左ヒラメ」と覚えるのは危険 カレイ目の魚の眼の向きはややこしい

「右カレイ・左ヒラメ」と覚えるのは危険 カレイ目の魚の眼の向きはややこしい

カレイとヒラメの見分け方でよく「右カレイ、左ヒラメ」というのを耳にするのではないでしょうか。確かに"カレイ"と付く魚は右向き、"ヒラメ"と付く魚は左向きの種が多いです。しかし、この覚え方には落とし穴があります。ここではカレイ目の魚の眼の<向き>について解説します。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

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サカナト編集部

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右と左はどうやって見分ける?

「右カレイ、左ヒラメ」といっても、そもそも魚がどちらを向いているか分からないという人もいるのではないでしょうか。そこでまず、カレイ目における右と左の見分け方を説明します。

目の前に魚があると思って考えてください。まず、魚の腹側を下にしましょう。腹鰭(はらびれ)と肛門がある方が腹側です。肛門が見つからない場合は臀鰭(しりびれ)の前方を探しましょう。カレイ目の場合は肛門がかなり前方にあり、胸鰭(むなびれ)の直下付近に位置することが多いです。

次に有眼側を上にします。有眼側(ゆうがんそく)とは読んで字のごとく眼のある側です。反対に眼の無い方は無眼側(むがんそく)といいます。多くのカレイ目では有眼側に色彩があり、無眼側は単色か柄があっても単純です。有眼側を表にして肛門を下にする。そうした時に眼がある方がカレイ目の向きになります。

カレイ科の魚では「右向き」で、ヒラメ科の魚では「左向き」という特徴があり、「右カレイ、左ヒラメ」と言われているのです。

左カレイ「ヌマガレイ」の存在

「右カレイ・左ヒラメ」と覚えるのは危険 カレイ目の魚の眼の向きはややこしいヌマガレイ(提供:PhotoAC)

では、このヌマガレイの写真を見てカレイかヒラメか分かりますか?

「左向きだからヒラメでしょ」
「いや、名前に”カレイ”と付くからカレイでしょ」

正解はカレイです。

ヌマガレイは日本産カレイ科の中でも眼が「左向き」であることが知られる変わった種です。日本のカレイ科で左向きの種は本種のみなので、ヌマガレイは例外として「左向き」と覚えておくとよいでしょう。

シタビラメはどっち?

「右カレイ・左ヒラメ」と覚えるのは危険 カレイ目の魚の眼の向きはややこしいウシノシタ科の魚(提供:PhotoAC)

シタビラメはどちらになるのか?

左を向いているし、名前に”ヒラメ”と付くから”ヒラメ”と言いたいところですが、クロウシノシタやイヌノシタ、オオウシノシタなどの種はウシノシタ科に属する魚でヒラメ科ではありません。言ってしまえば、”カレイ”でも”ヒラメ”でもないというのが正しいでしょう。

眼が同じ向きのヒラメ科との違いは口の大きさと鰭です。

ヒラメ科の魚は大きな口を持つ種が多いのに対して、ウシノシタ科は小さな口を持ちます。また、ウシノシタ科は口が鉤状になっている種が多くいますが、これはヒラメ科では見られない特徴です。

2グループは鰭にも大きな違いがあります。ヒラメ科は背鰭・臀鰭が尾鰭とは連続しませんが、ウシノシタ科は背鰭・臀鰭が尾鰭と連続します。

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