黒いワーム……みなさんどのようなイメージをお持ちだろうか?服なんかでは無難カラーだが、どっこい釣りになると、黒いルアーは微妙なもの。筆者もこれまであえて使うことはあるまいと遠ざけていたが、一度モノは試しに買ってみた。対照とも言える白ワームとの印象を交えながら、この「クセすごソリッドカラー」のライトゲームでの印象をお伝えしたい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)
ちょっと胡散臭い黒ワーム
何か胡散臭いカラーとも言える、ワーム・ルアーの「黒」。一般的にあまり使われないカラー、じゃないかな。ただこのカラーが使われないのは、シーバスの世界では、「そもそも使う気がしないカラーだから」と聞いたことがある。本当に釣れないのではなくて、最初から別のカラーが選ばれるために、黒は売れ残り、「釣れない」というイメージが残るわけだ。
そんなのはかわいそうなので、という気持ちが湧いたわけでもなく、好奇心から、黒いワームを使ってみることにした。購入したモノは、筆者はよく使うメーカーなので、実績が期待できるという保険は張っている。そもそも釣れるワームなので、これで釣れなければ、「黒……本当じゃん」となるわけだ。
「メバルに効く!」とあるが、ひとまず今私のメインフィールドに多量にいるアジを対象に使ってみることにした。それも、爆釣の日だ。アジングで30尾を超えた日に、検証してみた。
アジングで使用してみる
釣り方は、まず「ふわ釣り」。アジがいるレンジを突き止めて、軽量のジグ単でふわふわさせ、居食いさせる。
リグってみると、なんだか面白い絵になる。そうかー、黒いワームってこんな感じかー。独特の雰囲気。白やクリアという、「対照色」とも言える色と比べると違和感がなかなか……クセすごワームだ。
この日はすでにアジをかなり大量にキャッチしたあとからテスト。つまり、アジがいないわけはない。いたらすぐに反応する。1gで10カウントのレンジ。どうだろう?
……ダメだ!反応しない。アタリすら出ない。
魚の気分と合わない?
ちなみにこの日は、新月中潮。常夜灯下で、いい潮回りと、条件には恵まれている。光の範囲に投げると、かなりシルエットが出ているはず。金ラメがあるので、シェイクすると光るはずだ。そこまで悪くないアピールのはずだが。
比較対象とするため購入していた、色違いの、緑系のワームにはアジがついた。こうなるとやはりカラーの問題だろうと考えざるを得ない。筆者は個人的にカラーにめちゃくちゃこだわるが、「まあでも、濃淡くらいしかアジはわかっていないだろう」と思っている。だからここまで露骨に反応が違うと、ちょっと驚かされる。
活性が下がると効きだした……謎
数時間やっていると、アジが抜けかけてきたのか、活性が下がってきた。ところが、ここからなぜか黒が効き始める。まずはアジをキャッチ。ふわ釣りでなく、メバルを狙って足元をリトリーブしていると、複数ついた。5キャッチくらい。
なんだか事故的に釣れたと思ったのだが、巻きで再現性があったのだから、嬉しいのだが「なぜ?」と謎がむしろ深まる。その後、まさか25cm級のメバルまで連れてしまった。
ここから、釣れ劣る感じがしなくなってきた。むしろ、黒ワームが良い時間を作る。前に投げても2尾くらいついた。フォールの釣りでもきた。
分析すると、「下げ潮で、魚が抜けて、低活性になって」という点がキーかなと思う。おそらくシルエットが効きすぎて、高活性では見切られていたのだ。魚が抜けかかって個体数が減ってから、まだ食い気な魚が残り、バクッときた……こういう考え方でどうだろう?
白ワームと比較した印象
では、白ワームとの違いはどうか?そもそも白はソリッドカラーではよく効くカラーなので、あまり比較対象として成立しないが、科学的に言えばこういう違うがある――白は光を反射して、黒は吸収する(光を当てたときに、そのように色素が反応する)。
つまり白は光を跳ね返して放射するように目立つ、黒は光を吸収してまさしく黒っぽい塊に見える。魚がリアクション的に食いやすいのは、白だろう。私もこれまで白は何度も使っているが、白は他のカラーと比べても決定的な仕事したりもする。
黒ワームはメバルを専門的に打って追加検証が必要だと思うが、ともあれ、アジでもちょっと変わり種として投入すれば何かが起こる可能性は見えた。しかし、黒い色には思わぬ弱点もあった。何せ黒いので、夜釣りでは単純に見えにくいのだ……。
<井上海生/TSURINEWSライター>