11月初めの解禁以来、好調な釣果が続いている鹿島沖のヒラメを狙って、穏やかな秋晴れとなった11月9日(木)、茨城鹿島新港の桜井丸から出船した。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース関東版APC・大村隆)
桜井丸でヒラメ釣り
集まった15人のファンが受け付けを済ませると、大型船の右舷へ8人、左舷に7人と分かれて乗り込んでいく。私は左舷トモ2番へ入る。舵を握る大川真一船長からの「今日は型狙いでいくから仕掛けを万全にしておいてよぉ」との力強い宣言に、誰しもが期待に胸を膨らませて支度にかかる。
5時10分、まだ暗い桟橋で手を振る大船長と女将に見送られて出船し、南沖を目指す。はるか彼方に犬吠埼の灯台の灯りが見え、東の水平線があかね色に染まるころ、航程40分の釣り場に到着。
仲乗りの阿部さんが活イワシを各自のオケに3、4尾ずつ配って回る。ポイントが定まると、スパンカーはたたんだまま船腹に風をあて横流しの態勢をとり「はい、準備が出来たら、投入してください。水深は48m。根掛かりもあるから注意してください」との合図。
大判ヒラメ続々登場
準備に手間取るうちに「右トモにきたよぉ」との声に手を止めて飛んで行くと、神奈川県大和市から仲間たちと来た秋葉直樹さんが円弧を描く竿を捉え、奮闘の真っ最中。時折訪れる強烈な締め込みに、竿は胴まで海中に没する。やがて目を見張るほどの大判ヒラメが浮上し、無事にタモへ収まった。4kg超えのヒラメを掲げてくれた秋葉さんは「5回目の挑戦で自己記録更新ができたよ」とニッコリ。
釣り座に戻りエサ付けにかかると、「今度はミヨシにきた」との声。またも手を止めて駆け付ける。3kg超えのナイスサイズを取り込んだのは、取手市から来た横松貢さん。「ヒラメ挑戦は2回目だが、船長や仲乗りさんのアドバイスで良型をものにすることができました」と魚を掲げ至福の笑顔。
船長はここぞと思うポイントを横流しで攻めると、次のポイントへと移る。50mダチの流しに入って間もなく、右舷ミヨシ2番に座るキャリア50年もの大ベテラン・坂本延男さん(土浦市)がこれまた4kgほどの大ビラメを取り込む。さらに浅場では珍しい良型オニカサゴも追釣し、盆と正月が一緒に来たようなもんだよ」とご満悦。
左舷ミヨシで竿を振る小林大輔さん(羽生市)も絶好調だ。早くも5尾目となる大判ヒラメを仕留め「ひとつテンヤマダイも好きな釣りものだが、ヒラメは食わせるまでのプロセスのドキドキ感がたまらない。楽しみながらじっくり食わせれば空振りなしで掛かります」と好調の弁。
肉厚ヒラメのヒットがとまらない
次の流しでようやく釣り座に戻り、オケのイワシを備えてあるザルで掬い、目を覆うようにして軽く握り、親バリを口の中から上アゴの硬い部分へと抜き、孫バリを背ビレの末端へ掛けて投入。オモリが着底したら素早くイトフケを取り、イワシが底上50cm~1mの範囲を泳ぐイメージを持ちながらわずかに底を切る。アタリを待つが音沙汰なし。その間にも船中では次つぎと本命が取り込まれていくので、心中穏やかではない。
次の流しも状況は変わらず、ステイト、ハリス長を調整すると、やっとアタリが出た。1kg超えの肉厚ヒラメでようやく頬が緩んだ。
船長はなおも新たなポイントを探り続け「はい、ここは漁礁の上です」「これから根に差しかかります」などと、底の状態を克明にアナウンスしてくれる。
根があるからとあまり底を切り過ぎるとアタリは訪れない。右隣に座る室岡昭一さん(足利市)は根上をものともせず、小まめに底ダチを取り直し、果敢に攻めている。これが格好な誘いとなったか、4尾目となる大判本命を取り込みカメラへ向けてくれた。
左隣でトモの酒巻孝之さん(鹿島市)は「しばらくヒラメから遠ざかっていたので、タナ取りがうまくいかない」と嘆いていたが、さすがはベテラン。流れを掴むと、次つぎに良型を取り込んでいく。折しもゲットしたグッドサイズを掲げてくれると「やっと調子を取り戻せたよ」とホッとした表情。
ミヨシの小林さんはその後も好調を持続し、10尾の規定数に到達。「充分に堪能した。大満足」と後半は高みの見物へと回る。
ゲスト多彩でお土産確保
やがて11時が近くなり、「この流しで上がります」とのアナウンスで沖上がり。船中の釣果は0.3~4.2kgヒラメ1~10尾でゲストはソイ、ハタ、オニカサゴ、マダコが顔を見せ、誰もがエビス顔で凱旋した。
船長に今後の見通しをたずねると、「今年もヒラメの魚影は濃い、師走からの全エリア解禁も期待十分だよ!」との明るい言葉に、次の釣行を楽しみに帰途に就いた。
<週刊つりニュース関東版APC・大村隆/TSURINEWS編>