今月のテーマは「戸張誠の釣り談議」。間もなく当企画300回目に達するのを機に戸張は当コーナーから引退する。そこで最終章はハウツーなど語らず、ヘラブナ釣りについて戸張に好きなだけ自由に語ってもらうことにした。
なぜ両ダンゴの釣りが好きなのか
今回は戸張が大好きなエサ使い・両ダンゴについて、ざっくばらんに話をしてもらった。なぜ両ダンゴが面白いのか、なぜ戸張は両ダンゴを基軸にするのだろうか。
「両ダンゴの釣りが好きなんですよ。」
前号の文末で次回は両ダンゴについて戸張の意見を聞かせてもらおうと約束した。
そして切りだした最初の言葉が「この釣りが好きだから。」
だが好きだと言われてしまうと、後に文章が続かないので、もう少しだけ掘り下げてくれないかとお願いすると…。
「エサをいじれるから楽しいのでしょうね。エサがどうにかしてくれるとでも言えばいいのでしょうか。」
つまり「エサ合わせができる」ということですよね?
「そうですね。素材と水分、それに練り加減。ウキの動きを見ながら、この3要素を足したり引いたりして釣れるように調整する。それにより釣果が伸びることはもちろんうれしいのですが、エサを合わせられた自分をほめてあげたい。そんな感じですよね。」
万能な戸張流・両ダンゴ
ですが近年は両ダンゴで釣れる時期が短くなっていませんか?そのぶんだけ楽しめる時間も減っている?
「確かに。でもそれは管理釣り場に多く見られる傾向なのではないでしょうか?私がよく行く釣り場では厳寒期を除けば、ほぼ両ダンゴで対応できます。まあどうしようもない時はグルテンセットとかにしますけどね。」
戸張さんがよく行くとなると関東近県の準山上湖や横利根川、それに精進湖や西湖ですよね。
それらの釣り場なら特殊な時期とケースを除けば両ダンゴでいけると?
「はい。とくに底釣りでは両ダンゴが圧倒的に多いですね。」
ちなみにそれは例会や、その試釣ですよね。
だとすれば釣果重視の釣りのはずですから、両ダンゴがダメならほかのエサもやるわけですよね?
「もちろんです。ですが最初は両ダンゴでスタートします。」
なぜですか?
「慣れているエサ使いなので、その日の魚の活性を把握しやすいからでしょうね。それと集魚力がありますから、寄せながら釣ることができるのも魅力です。」
でもそれはセットでも同じなのでは。むしろバラケを使ったほうが寄せ効果は高いのでは?
「それはどうでしょうか。一概には言えないと思いますよ。なぜなら両ダンゴの場合はエサ玉が2つになりますからね。個人的な意見ですが両ダンゴの集魚力がセットに劣ると私は考えていません。さらに、セット釣りだと上エサ下エサそれぞれに気を配らなければなりませんが、両ダンゴにはそれがありません。つまり考え方がよりシンプルになるので対応しやすいんです。」
これまで両ダンゴの釣りは魚の活性が高いことが絶対条件だと言われてましたよね。それは変わりないと?
「はい。ただしその日のスタート時は魚の活性が高いか低いかは分かりません。
ゆえに両ダンゴで始めて、活性が低いと感じたら別の方法を考えます。」
活性のバロメーター
別の方法?セットにするではないのですか?
「私がよく行く釣り場を覚えていますか?」
いわゆる野釣り場ですよね?
「はい。つまり管理釣り場に比べたら圧倒的に魚の数が少ない。そのような所でエサを打ち触りを出してきた魚が、食い渋っているとは考えにくいと思いませんか?だってエサの近くに寄ってきたんですよ。」
何をおっしゃりたいのか意味がよく…。
「つまり釣れないのはアタリを出すだけの数がそろわないか、またはいないかのどちらかだということです。であれば釣る手段はエサではなくタナやエリアの話になると思いませんか。」
なるほど。両ダンゴでも口数がそろえばアタってくる。
それがないということはエサを替えるとかではなく、ポイント移動または竿の長さを替えてタナを大きく変えるという結論ですね。
「そうなんです。アタってこないからとエサを両ダンゴからセットにしてよかったことなど、過去にあまり経験がありません。エサでどうにかできるのは、数がいるからこその話ではないかと私は思うのです。」
次回も「戸張誠の釣り談議」です。
<週刊へらニュース 戸張誠/TSURINEWS編>
ボートハウス松下