1980年代に端を発して一大ブームを巻き起こした「チヌ(クロダイ)落とし込み釣法」が、愛好家たちの間で絶滅危惧種のごとく今も生き永らえているのをご存じだろうか。この記事では、釣り場を関西の沖防波堤に設定して、チヌ落とし込み釣法を、私(筆者)の経験をもとにコンパクトにまとめて紹介したい。投げずに楽しめる釣り方の一つとして、この夏に挑戦してみてはいかがだろうか。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)
専用タックルのメリット
専用タックルはなぜ「専用」なのか、その所以は「エサを壁面ぎりぎりに垂直に落とし込んでいく」技術と、「アタリを捉えて掛けアワセる」ことの実現性を追求した結果として、その仕様に表れている。
専用竿は軽く、細く、極端な先調子の堅い造りで、ガイドは径の非常に小さいミニクロガイドやUガイドでラインとガイドがまるで一体化するかのような仕様になっている。
専用リールはラインの巻き癖が極力付かないようにスプール径が大きい。糸フケや魚を掛けた時のラインの調整を指先のわずかな動きで調整することに特化しており、ドラグ機能もストッパー機能も付いていない。
専用目印仕掛けは、エサを垂直に落下させていく過程で生じる微妙なアタリを視認するための目印となる小さな発泡シート片やピニールパイプが複数接着されている。自作してもよいが、市販品を用いたほうが一定の性能が担保されていて、時間の節約にもなる。
全体のタックルの図解は、過去のTSURINEWSに掲載された諸先輩方の投稿の中に一目瞭然の素晴らしいものがあるので、そちらに委ねさせていただきたい。
ハリスと「針オモリ」について
専用目印仕掛けの下に直結するハリス、ガン玉オモリ、釣り針も、「エサを壁面ぎりぎりに垂直に落とし込んでいく」ことに適したものを選ぶ。
ハリスはフロロカーボン1.5号~2.0号で堅めのものがよく、私は東レフィッシング トヨフロンスーパーLハード1.7号を標準に使用している。
ガン玉オモリは釣り針の結び目のチモトを割れ目で挟み込むように、微量の接着剤を塗ってニッパーで平たく付けて一体化させる。これを「針オモリ」と呼んでいる。
針オモリが作りやすいように、ガン玉オモリは割れ目が広めのチヌ専用のものが市販されている。オモリの大きさと釣り針の大きさは、釣り場の状況や狙う魚の大きさによって変えるとよいが、私はガン玉BB、釣り針はチヌ針3号を標準に使用している。
エサについて
エサは岩カニかイ貝が定番。岩カニは多くの釣りエサ店で販売されている。
イ貝は壁面に着生しているので、タモ網の柄に装着する専用用具で搔き獲るのが基本だが、着生状況が悪い場所や時期は現地採取できるだろうと安易に考えていたら悲惨な目に合うので、イ貝を販売しているエサ店や渡船店を探して買い求めるほうが得策だ。
岩カニもイ貝も生き物なので、海水バケツに入れて生かしておき、使う分だけエサ箱に取り除けるようにしたい、夏の高温は大敵。海水をこまめに入れ換え、時には冷凍ペットボトルを漬けて水温を調節するなどの細心の注意を払ってほしい。
針の付け方
エサの針への付け方は、岩カニは足の付け根から刺して甲羅に針先を少しだけ出す「横掛け」がカニの動きが良いのでおすすめ。
イ貝は1枚掛けの場合は貝の割れ目の隙間から針を刺して、ガン玉オモリは貝に密着させ、針先を少しだけ出す。繊維掛けの場合は、イ貝に直接針を刺さずに、イ貝の繊維に針を縫い刺す。