釣り場で最初に投げ込むパイロットフライのひとつとして使用されることもあるほど使用頻度が高いフライ『カディスピューパ』。今回は市販品の約10分の1の費用で自作する方法を紹介します。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター浅暮三文)
マス類が常時捕食しているカディス
皆様、しばらくご無沙汰しておりました。新刊本『我が尻よ、高らかに謳え、愛の唄を』990円(税込み)河出文庫の出版にかまけて、しばらくズルしておりました。前記『我が尻よ』は前代未聞のオナラに関する小説を四本集めた短編集です。我ながらそれなりの出来と自負しておりますので、ぜひ書店などでご購入ください。さて宣伝はここまでとして釣りの話に入ります。
過去の記事にも書きましたが私の釣りは主に水中が守備範囲のニンフフライ・フィッシングです。これまで紹介してきたフライもほとんどがニンフですが、それらはドライフライでいうところのメイフライ、つまりはカゲロウ類の幼虫でした。ですがニンフにはもうひとつ重要な種類のフライがあります。なにかというとトビケラの子供。ドライフライならディアヘアーやエルクヘアを使って作るカディスです。
カゲロウ類はときに起こるスーパーハッチ(大量羽化)に見られるように季節や時間、つまりは水温によって周期的に羽化します。いってみれば登校時間が決まっているようなものです。となれば鱒もその登校時間にそってランチタイムを迎えることになります。そんな定時の給食ともいえるカゲロウ類にくらべてカディスの仲間は羽化が散発的です。こちらは一日中やっている名古屋のモーニングサービスみたいなもの。実は鱒の主食はカゲロウ類よりもカディス類で、朝昼夕にかかわらず羽化するカディスをつまんでいます。
ラーバとピューパ
このカディスのニンフにはカディスラーバ(幼虫)と変態したカディスピューパ(蛹)があるのですが、今回はピューパを紹介します。カディスピューパは鱒が常時、捕食しているだけに時間に関係せず、川に流すことができ、効果的です。当然、使用頻度もとても高くなります。私もカディスピューパは釣り場で最初に投げ込むパイロットフライのひとつとして使っています。むろん怠け者の私ですから毛鉤に巻くときも、とにかく簡単にとずぼらを決め込み、いつの間にかシンプルなフライになってしまいました。
カディスピューパの材料
それではカディスピューパの材料です。使う材料は以下の五つ。また毛鉤の各部分も胴体、足、鰓、体節の四要素だけです。多くのタイイングの解説では他に羽根、髭、目玉などを付けるタイプがありますが、私は省略。最初はそれらを付けていましたが結局、四要素だけに落ち着きました。今の省略型でも効果は大して変わりません。スレッドはユニスレッドの6番です。
ボディ材
通常はフライ専門店で売っているフライライトなどを使いますが今回は安く上げるために百円ショップの毛糸を使います。色は緑、茶、黄色など。
ソラックス材
鰓に当たる部分を表現するため、巻くと毛羽立つピーコックを使います。手芸用のネット通販だと孔雀の羽根として10本で530円と量も値段もお手軽(私のは専門店のバーゲンで180円にて購入)。
レッグ材
足を表現するため、パートリッジ(ウズラ)を使います。これだけは専門店で購入した物になります(私のは一袋百枚程度)。タイイング時は軸にVサインを残したように整形した物を用います。羽毛の長さは鉤の幅ぐらい。
リビング材
体節と光(カディスピューパは羽化する際、殻を脱ぎますが、その時、ガスが発生して輝きます)を表現するため百円ショップの金色や銀色の針金を使います。今回は金色で。
鉤
蛹固有の形状を模すためと針掛かりをよくするために針先と軸に幅があるワイドケイプでアールのあるタイプを使います。通販の百本売り(12号か14号)、海釣り用で代用するなら管付きチヌ2号がお財布に優しい。