もうすぐサンマの美味しい季節がやって来ます。今回は秋の味覚サンマの生態について調べてみました。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
サンマ不漁の原因は?
この日本海域におけるサンマの不漁の原因は、環境問題や乱獲など各方面でさまざまな意見が述べられていますが、共通して深刻な問題とされているのが地球温暖化による影響だと言われています。
サンマの水揚げ量は2010年あたりから年間20万トンを下回るようになり、ここ数年は10万トンを満たない年も珍しくありません。
2020年には2万9566トンとピーク時の10%を切る数字を記録しました。
数字だけを見ると、サンマが絶滅しかけているのではないかと思うほどですが、実際の原因は、秋に親潮に乗って南下してくるサンマが暖水塊(だんすいかい)の発生による影響が大きいことがわかってきています。
暖水塊とは、日本の太平洋沖を北上する暖流の黒潮が高温にさらされることで渦になった状態で、直径200kmに達することもあり、この暖水塊が日本海域に発生しているためサンマの南下を阻んでいることが一因だと言われています。
気象庁の発表によると、2020年までの100年間にわたる海域平均海面水温(年平均)の上昇率は+1.16℃で、サンマの水揚げ量が多い釧路沖の上昇率を見ると+1.25℃とさらに高くなっています。
このように温暖化による海面温度の上昇によって徐々にサンマの回遊ルートが変わってしまったことで、近年の深刻な不漁へつながっていると考えられています。
STOP!地球温暖化
このように海水温の上昇が続くと、サンマの生息域はどんどん北上していってしまいます。
すると、サンマ漁にかかるコストなども上がってしまい、サンマの値上がりも歯止めが利かなくなってしまうかもしれません。
そうなると、ちょっと昔は一尾60円程度で購入することが出来たサンマも近い将来には一尾数百円の高級魚になってしまう可能性だってあるのです。
地球温暖化を止めることが、サンマを美味しく安く食べる最善の方法なのかもしれません。
<近藤 俊/サカナ研究所>