日本の食卓に欠かせないイワシ。一般的にはマイワシ・ウルメイワシ・カタクチイワシの3種をイワシと呼びますが、今「もう一つのイワシ」が徐々にポピュラーになろうとしています。
(アイキャッチ画像提供:茸本朗)
味はイワシというよりニシン
このカタボシイワシ、マイワシやウルメイワシと同じくニシン目ニシン科の魚ですが、イワシのような断面の丸さはなく、コノシロとマイワシの中間的な見た目をしています。
捌いてみると、身質自体はマイワシのようですが、サッパやコノシロのようなしっかりした小骨がたくさん入っています。そのため鹿児島などでは「ホネイワシ」と呼ばれており、食用としてはあまり歓迎されていないようです。
マイワシやウルメイワシと比べると血合いが大きく、鮮度落ちが早いのも欠点でしょう。しかし夏から秋にかけてはマイワシ同様によく脂が乗っており、青魚独特の心地よい風味も強く、まるでニシンのような美味しさがあります。細かく骨切りをして煮付けにしたり、薄くスライスして酢じめにしたりすると美味だといえるでしょう。
今の温暖化傾向が続く限り、カタボシイワシの水揚げは今後も増えていくと思われます。せっかく獲っても未利用魚で終わってしまうというのは残念なので、みんなで活用法を考えておくべき魚ではないかと思います。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>