渓流釣りの世界において"尺"サイズは一つの目標であり、それを求めて足繁くフィールドに 通う人も多いでしょう。もちろん私もその一人で今年に入ってようやく初の尺ヤマメを手にすることができました。今回はとある源流でのヤマメ釣りのレポートをお届けします。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター小峠龍英)
ついに尺ヤマメ堂々浮上
ここまでの釣果は 29cm、27cm、24cm、豆サイズx2と、激戦区の河川ならこれ以上ないほどの 結果ですがこの沢のポテンシャルはこの程度ではなく、またこの先に好ポイントがいくつもあるので気を取り直し上流へ。しばらく小型からの反応をかわしながら遡行とキャストを繰り返していると、とあるポイントに辿り着きました。
上流からの流れが対岸の岩盤にぶつかりちょっとした深みを形成していて、深さにしておおよそ膝上あたり。過去に実績のあるポイントではないもののスルーする理由もないので、岩盤にぶつかって発生している白泡に5gのシンキングミノーを投げ込みボトムを軽く跳ねるようにトゥイッチをかけていると、突然ロッドに重みが乗り、水面が爆発しカーディナル 33 のドラグがジリジリと鳴り始めました。
ドラグ設定は尺イワナクラスで効くように設定しています。グネグネとイワナのような重みだったのでイワナかと思いきや、紅みのある背中に黒点が見えた時点で尺ヤマメと確信。慌てずにランディングネットを手前に取り出しヤマメをネットに誘導。ネットインした時の重みがそれまでのヤマメとはまるで違うずっしりとした重みでした。
魚体を水に浸しながら素早くフックを外し計測すると、待望の31cmでした。思わず静かにガッツポーズし魚体を眺めます。落ちかけた鼻に厚い顎、太々しい目付きと立派な体高。角度をかえて見ると秋色に染まりつつとても美しい魚体。手早く撮影してリリースすると勢いよく流れに帰って 行きました。
次回は尺上を狙う
実はこの沢で尺ヤマメをキャッチしたのは今回が二回目。初回は7月中旬の釣行で30cmをキャッチ。素晴らしい魚体でしたがピッタリ30cmだったので厳密に測ればもしかするとわずかに足りない可能性は無きにしも非ず、撮影や測定に時間 をかけ過ぎて魚に負荷をかけるのは絶対に避けるべきことなので今となっては確認はできません。
今回の魚で明確に尺を超えたので次は35cmあたりを目指したいところです。すでにこの沢で何回か尺上クラスを目撃しているのでまだこの挑戦は終わりません。
深入りは禁物
尺ヤマメを流れに返した後少し休憩していると、20mほど先の茂みからガサガサと音がしているのに気が付きました。その日は熊鈴を3個つけて森林香を焚き、定期的に爆竹を鳴らしながら遡行していました。鹿の足跡は見つけましたが熊の足跡はなく特有の獣臭もなかったのですが、既に目標も達成していたのですぐに引き返すことにしました。
釣りに夢中になって忘れがちなことですが、渓流は彼らの領域なのです。たとえ上流にまだ沢山のいいポイントがあると分かっていたとしても引き返す決断は必要です。深入りは禁物なのです。
大型は足で釣る
尺ヤマメを釣るという目標を掲げたのは2年前、尻別川の某支流で大きなヤマメをバラしたのがきっかけでした。それ以来、タイミングを狙っては沢山の川を歩き、全く報われない釣行や惜しくもバラしてしまったことなど色々ありましたが、その度に学ぶことも多かったです。
この沢はほとんど人が入った形跡はなく他の釣り人に会ったこともありません。場所がよかったと言えばまさしくその通りですが、時期によってはこの沢でさえ上流まで歩いて行かなければ魚を見つけることはできません。やはり釣りは足で稼いでナンぼの世界なのです。
<小峠龍英/TSURINEWSライター>