暑い夏は怪談で気持ちだけでもひんやりしたいということで、編集部から「釣りで経験した怖い話」の依頼が来た。今回は沖釣りによく出かける著者が実際に体験した恐怖体験、悲鳴が絶えないマリントイレのお話をしたい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター濱堀秀則)
まずは腹ごしらえ
夏の夜遊びと言えば、イカの王様ケンサキイカ釣りである。釣友たち10人で愛媛県の宇和海沖へケンサキイカ釣りに行ったときのこと。午後6時出船で12時までの釣りであるから、乗船の前に腹ごしらえ。私は親子どんぶりを平らげて満足気分。戦いの前には腹ごしらえが、我々のいつものパターンである。
場所取りは抽選
10人が仲間内なので、右舷に5名、左舷に5名である。私は、どこでもいいのだが、「前がいい」「後ろがいい」などと希望をおっしゃる方もいるので、公平に抽選である。いつものようにあみだくじを引き、場所が決定した。この日、私はトイレの出入り口のそばに決った。
イカの乗りが低調
ポイント到着すると、船長がシーアンカーを入れて釣り開始。まだまだ薄明かるく漁り火への反応が悪いのか、ケンサキカもあまり浮いてこない。「潮が動かんなあ」「船の数が増えて、イカよりも釣り人の数の方が多いんとちゃう」「イカが浮いてこんなあ」など余裕をかましている。暗くなって漁火が効くとラッシュがくるであろうことを想像しながら、竿をシャクっていた。
釣友がマリントイレで用をたす
一人の釣友が、マリントイレで用を済ませて出てきた。ドアも閉めずに中からプーンと匂いがしてくる。そこで、「流してないからだな」と思い、マリントイレの「流すボタン」を押しにいった。すると、水は出てくるが、下方向に流れていかない。たまるばかりである。
マリントイレ内には、トイレが詰まったときに使うゴムでできたお椀に棒が付いている道具が置いてあったので、それをバッコンバッコンやってみた。少し流れたようなので、「流すボタン」を押して水の力で下方向に流そうとした。すると、またまたたまってくる。またしても、ゴム製のお椀が反対についた道具でバッコンバッコンである。
何回目かにだいぶん流れたので、海水をくんでトイレに流した。すると、どうにか流れた。良かったよかった。