「PDCAサイクル」という言葉を聞いたことがあるだろうか?釣りと何の関係があるのか?と思われるかもしれないが、実は多くの釣り人が無意識に実践しているはずだ。今回はそれを解説してみたい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター筑井直樹)
釣りでの「PDCA」
PはPlan(計画)、DはDo(実行)、CはCheck(評価)、AはAction(改善)の略だ。経済や教育の分野では一般的で「P→D→C→A」の4段階を順に繰り返す、回すことによって業務を継続的に改善する方法だ。
何やら難しそうな話になってしまったが、我慢して耳を傾けてほしい。魚種や釣法、淡水、海水を問わず読者の皆様も「そう言われてみれば自分もやっていた」と思うはずだ。渓流釣り専門の筆者は「釣りがうまくなるためにはどうしたらいいのか」と考えていたところ、ふと気づいた。「初心者でもPDCAサイクルを意識すれば上達するのではないか」と。
それでは早速、各段階について解説してみよう。
Plan:計画作りと目標設定
文字通り「計画づくり」のことだが、「目標の設定」と解説されることも多い。「今週末はAさんと○○川で、新しく入手した毛バリでイワナを釣ろう」といった感じだ。持ち物から始まって、現地への交通手段や携帯する食料、気象情報の収集なども含めて準備することが、計画づくりだ。
「なーんだ。そんなの当たり前だ」と思われだろう。その通り。誰もが無意識のうちにPDCAサイクルを始めているのである。そのうえで初心者であれば、ここに「まず1匹釣る」という数値目標を設定したい。「たくさん釣りたい」と欲張る必要は無い。釣行の準備、計画作りに加え「1匹」という目標を設定することから、初心者でもPDCAサイクルの次の段階、Dに進めるのだ。
Do:試行する
これはPlanで立案した計画・目標を「実行」に移すことだ。「釣りに行くのだから当たり前」なのだが、PDCAのDには「試行」という意味も含まれていると解説しているビジネス書もある。計画した渓流に行っても、想定より水量や気温といった環境が異なるのはよくあることだ。そこで、サオや仕掛けを交換することもあるだろう。普段ならキャストしないようなポイントを探ることもある。これが「試行」なのだ。
その結果、1匹でも釣れれば目標に到達できたことになり、次に進めるのではないだろうか。釣れなければ別のシステムを試みてもよい。試行錯誤を繰り返す。欲張ったり、焦ったりしない。釣れなかったとしても、それはそれで今後の教訓にすればいいだけだ。
Check:釣果、ポイントを撮影
さてCheckに進もう。今回の釣行についての「評価」である。釣りの最中でも、計画通りかどうか点検してみる。筆者はヒットした場合は可能な限りそのサカナを撮影し、サイズなども記録している。気温や水温を重要だろう。
ふつうは、「このポイントなら釣れるだろう」と期待して流す。むやみにキャストするわけではないにしても、「まさかここにはいないだろう」と思ったところで釣れる場合もある。とくに「まさか」というポイントは必ず撮影するようにしている。それが評価であり、次のAとも密接につながる行動だと考えているからだ。
Action:振り返る
さて、最後のActionだ。「改善」するという意味だが、手っ取り早いのは撮影した写真を整理し、ヒットした仕掛けやポイントを振り返ることだと思う。釣果がゼロのこともある。その場合はなぜダメだったのか検証する。
「横着せずに別の毛バリを使えばよかったのではないか」「もっと丹念にポイントを探ればよかったのではないか」と次回に向けて改善する。それが最初の段階であるPにつながり、それを順に繰り返すことが「PDCAサイクルを回す」ということなのだ。
どうだろう、これは渓流釣りに限った話ではなく、磯釣りでも沖釣りでも読者諸兄は期せずして意識していることではないだろうか。とくに初心者こそ、めげてはならないのだ。