大衆魚代表のアジは釣り物としても大人気ターゲットの一つです。ここでは釣り人なら知っておきたい?知っていたら自慢できる?アジのあれこれを紹介します。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター有吉紀朗)
回遊型と地着き型
マアジというひとつの種類の中に回遊性のアジと地着きで移動しないアジがいて、見た目、食味、価格まで違うので別の名称で呼ばれています。が、生物的に別種ということではなく、面白い魚です。
マアジはスズキ目アジ科の魚で、7000万年前に発生。マアジの目的は策餌と繁殖であり、食料が豊富であればわざわざエサを求める回遊(策餌回遊)には出かけません。エサ場のキャパが限られすべてのアジを養うことができないので、エサを求めて策餌回遊するアジが発生し、住みやすい場所が見つかれば一部定着して地着きになるため、この2グループが存在してきます。
ヒラアジ・キアジ・クロアジ
ヒラアジという呼び名はマアジの呼び名で、平アジと書きます。これは別種のマルアジと区別するための呼び名です。
同じヒラアジでも地着きのアジは、植物性プランクトンの発生で緑色が増え日光の黄緑色が透過しやすいので、保護色として黄色っぽい体色に変化して「キアジ」と呼ばれます。回遊性のアジは「クロアジ」と呼ばれています。
また、水深70~200mのアジはアカムツやユメカサゴのように口の中やネクタイが黒く変色しています。これは暗い海中でエサの小魚を飲み込む時に暴れさせないようにしていると、昔どこかで読んだことがあります。
系群でも異なるマアジ
また「系群」はよく知られており、東シナ海に九州北部群、東シナ海中部群、東シナ海南部群の3系群、九州南方域群、高知沖、伊豆付近、瀬戸内、富山湾と小群に分かれます。これは遺伝子プールが異なるであろう地方個体群を指していて、種は同じであるが、形態や遺伝子組成にわずかに違いが見られます。
実際、鮮魚店に入荷しているマアジも鹿児島産のマアジと富山産のマアジでは違いがわかります。
産卵とサイズ、成長
アジは20cmを越えた満2歳あたりから産卵をはじめますが、個体数減で群れ密度が下がると小さいアジの産卵比率が高まるそうで、彼らなりの対策と思われています。普通は3歳魚で約25cm、4歳魚で約30cmになります。
東シナ海の沖縄の大陸ダナが主産卵場となっていますが、孵化の適温である18~24℃の水温の場所であればどこでも産卵します。九州と東北では3~4カ月の違いもあり、当然旬も違ってきます。ちなみに、アジの産卵は夜間に行われるそうです。
アジ釣りの仕掛け
サビキ釣りの仕掛けは、最寄りの釣り具店でアドバイス通りに使うのが一番ですが、どうしても面白味に欠けると思えば自分で用意します。
自分の場合、ハリスは0.8号から6号、サバ皮、ハゲ、猫皮は光を反射して独特の光沢を放つので夜釣り以外で効果あり、スキンはアミエビをまく時、オーロラは濁り潮や夜釣りでも、空バリでも昼間効果があると思い複数のシカケを準備しています。メバルやガシラも同じサビキで釣れるので楽しいのです。
陸からのアジングの場合は、外灯周りを狙うことが多いです。光合成で植物プランクトンが増殖するという記述も見られますが、どちらかというとオヨギピンノ(小型カニ)や多毛類が明かりに集まるので、これらを狙っていると考えます。これらの生物も明るければ逃げるチャンスも多く、暗がりのほうがストレスも少ないはずなので、釣れる率も高いのではないでしょうか。