シーバスフィッシング愛好家の筆者が、『干潟』を考察。シーバス釣りの好ポイントでもあり、さまざまな生命のゆりかごとしてや、水の浄化作用もある『干潟』の重要性を紹介します。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター宮坂剛志)
干潟は生命のゆりかご
都心の身近な海と言えば東京湾だが、この東京湾には実は多くの干潟が存在する。埋め立により、昔に比べれば数や規模は少なくなったが、まだ残っている。特に千葉県の沿岸は、谷津干潟、盤州干潟、富津干潟、など大小多くの干潟が残されている。
干潟には、カニやエビ、ゴカイ、アサリやハマグリ、シャコなども生息し、また、それを狙って多くの水鳥や、魚類なども集まる。まさに生命の宝庫、ゆりかごとも言っていい。
しかし、干潟はそれだけではない。昔海だった場所には、河川内にその名残りが残っている。そして、この河川内に残された干潟こそ、シーバスやハゼなどの好ポイントを形成しているのだ。では、その河川の干潟とはどんな干潟なのかをご紹介しよう。
釣りの好ポイント
河川内の干潟を確認するには、干潮時が1番わかりやすい。潮位が高い時は気が付かなくても潮位が下ると広大な干潟が露出し、景色が一変する、なんて所もある。そして、この干潟がある場所は釣りの好ポイントでもある。
干潟には大型のフィッシュイーターを避け、マイクロベイト、主にボラの稚魚などが大群で集まる。その他、ハゼやテナガエビ、モエビ、ゴカイ類なども多い。当然、それを狙って様々な魚類が集まる。さらに干潟がある河川は、川の流れも複雑な場所が多い。まさにこれこそ、自然が作り出した天然のポイントなのだ。
水の浄化作用も
河川内の干潟は、釣りの好ポイントだけではない。年々汚れつつある河川の浄化作用も担っている。特に筆者の地元、千葉の河川の干潟には驚くほど色々な生物がいる。ゴカイやイソメ類、エビ、カニ、貝類まで生息しているが、注目すべきはその数だ。特にシオマネキなどのカニ類は、種類、数、共に大量に生息している。そして、そのカニ類を中心とする小動物は、干潟のプランクトンやバクテリアをエサにしている。
さらにそれらの小動物を水鳥が食べる。こうしたサイクルが東京湾の水質を保っている。そして、その生物全般を支えている土壌こそ、干潟なのだ。
ドブ川にも魚がたくさん
東京湾の河川内の干潟は、残念ながら護岸整備が進んだ現代では、立ち入る事はほとんど不可能だ。仮に立ち入ることができても、ヘドロや生活排水、工場排水などで汚れきっていて、沼のような地盤に足を取られる。生物が住めないわけではないが、人間が立ち入って潮干狩りなどで遊ぶことはできない。皮肉なことに、汚れて悪臭漂うような干潟になればなるほど、それを好む生物が集まり、新たな生態系を構築しているのだ。
近年、シーバスは減ったと言われているが、いわゆる『ドブ川』と呼ばれるような汚れた川には逆にシーバスは増えているようにさえ感じる。これは、人やアングラーを避け、魚が生活圏を変えたのではないかと思う。