日本の食卓に欠かせないワカメ。その多大な需要を支える養殖は全国的に行われていますが、多くの地域で今ワカメ養殖業がピンチに陥っています。
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火山噴火でワカメ養殖に被害
南太平洋のトンガで今月14日に起きた大規模な火山噴火。それによる津波的な潮位変化の影響が日本各地に発生していますが、宮城県内では養殖ワカメに甚大な被害が発生し問題となっています。
同県塩釜市の漁業協同組合が管理する塩釜沖の養殖ワカメ漁場では、全体の8~9割ほどのワカメが絡まったり傷付いたりするといった被害を受けました。例年では750t程度の水揚げがあり1億4千万円の売り上げがあるそうですが、壊滅状態となってしまっているそうです。
また津波の影響で養殖施設が絡まって使用できなくなっており、撤去にクレーン船が必要となるため、多額の費用が掛かる見込みです。塩釜市では市役所の水産振興課に相談窓口を設置しており、養殖いかだの撤去のほか、補助金や融資についての相談を受け付けています。(『津波で養殖ワカメに甚大な被害 宮城・塩釜市が補助金や融資の相談窓口を設置』KHB東日本放送 2021.1.18)
寄生生物の被害も
実は、今回の津波の前から、全国各地でワカメの養殖に様々な難題が発生しています。
三重県内で最大の養殖ワカメ産地である鳥羽市では、昨年「ヒラハコケムシ」の群体がワカメに付着するという被害が相次ぎました。ヒラハコケムシは体長0.5mmほどの「コケムシ」という生物の一種で、ワカメやコンブなどの海藻の上に「群体」というものをつくってへばりつき、見た目や食感に悪影響を及ぼします。
例年、ヒラハコケムシはワカメ収穫シーズン終了間近の4月下旬に付着し出すそうですが、2021年はなぜか刈り取りが始まる前から大量に発生。水揚げ後、一つ一つ剥がしていく手間が必要となり、経済的な被害が発生しています。