北関東の鮭料理「しもつかれ」を紹介 鮭の頭と豆で魔除け効果も抜群?

北関東の鮭料理「しもつかれ」を紹介 鮭の頭と豆で魔除け効果も抜群?

北関東の冬限定の鮭料理「しもつかれ」。名前を聞いたことがある方もいるはず。鮭の頭と大豆、根菜、酒粕を煮込んだ料理ですが、一体どんな料理なのでしょうか?

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター菊池英則)

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菊池英則

釣り&温泉ライター。元新聞記者。東京エリアの釣り事情にズバッと切り込みます!

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郷土料理「しもつかれ」

しもつかれは北関東(主に栃木県。群馬県・茨城県方面なども含む)に分布する郷土料理で、初午の日(2月最初の午の日)に作り赤飯とともに稲荷神社に供える行事食です。昔はこの日以外につくることは忌み嫌われていたといいます。昔から鮭が自然ソ上していた利根川流域の風習とも言えます。

初午の日につくった「しもつかれ」は、新しい藁苞(わらづと)に入れ、赤飯と一緒にお稲荷さんに供えます。新巻鮭の残り物である鮭の頭は悪いものを追い払うとされ、節分の豆も「魔滅(魔を滅する)」を意味することから、しもつかれは縁起物として食べられてきました。

子供には不人気?

「しもつかれ」という名前の由来は下野(しもつけ・現在の栃木県)で作るからという説が一般的です。近年は地元のスーパーマーケットで既製品が市販されているほか、栃木県では学校給食のメニューになっている地域もあります。ネット上では、児童に不人気な給食メニューのNo.1として、しもつかれが選ばれたといった書き込みもあります。

北関東の鮭料理「しもつかれ」を紹介 鮭の頭と豆で魔除け効果も抜群?スーパーで購入した市販品(提供:TSURINEWSライター菊池英則)

「鬼おろし」が味の決め手

調理方法は、鮭の頭、大豆(節分にまいた残り)、大根、人参、その他の余り物を、目の粗い竹製の大根おろし器の「鬼おろし」で粗くすり下ろします。そして、すり下ろした材料と、短冊切りにした油揚げを、酒粕、だし汁で煮こんでいきます。

鬼おろしは竹製のため、一般的な大根おろしよりも素材が粗くおろされます。このため野菜の水分が出ず、食べた時にしっかりとみずみずしい食感を感じることができるのが特徴です。

北関東の鮭料理「しもつかれ」を紹介 鮭の頭と豆で魔除け効果も抜群?イベント会場で展示される鬼おろし(提供:TSURINEWSライター菊池英則)

また、しもつかれでは調味料は一切用いず、鮭や酒粕の量を加減することで味を調整します。

伝統的な家庭料理

こうして作る家庭料理の「しもつかれ」。各家庭によって味や製法、材料が異なり、よその家では、まったく違う味になることもあります。

筆者は東北地方出身ですが、幼い頃にしもつかれに似た鮭の入った惣菜を食べた記憶があり、全国的にもレシピが広まった時期があったと推測されます。

しもつかれは地域によってさまざまな食べ方があります。ご飯にかけたり、お茶うけとして、小さな器に入れて供されることもあります。また、「コタツに入りながら冷えたしもつかれをつまむと最高だっぺよ」(茨城県筑西市の男性の声)と、熱燗と一緒に酒の肴として楽しむ地域もあるようです。

北関東の鮭料理「しもつかれ」を紹介 鮭の頭と豆で魔除け効果も抜群?小皿に盛ったしもつかれ(提供:TSURINEWSライター菊池英則)

独特な味や香り、その外見から、好き嫌いが激しく分かれる「しもつかれ」。最近は鮭の頭をあらかじめ焼くなど下ごしらえを丁寧にして生臭さを抑えたり、旅館で見栄え良く盛り付けたりして、若い人や県外からの観光客にも食べやすくする工夫がなされています。

「なるべく多くの家のしもつかれを食べると無病息災」など、しもつかれには様々な言い伝えがあります。現在でも重箱に入れて隣近所でやりとりする風習が残っている地域もあるそうです。

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