キスといえば投げ釣りの人気ターゲットであるが、船から狙えばまた一味違った釣趣が楽しめ、さらなる釣果も期待できる。今週はこの船キスのあれこれを、沖釣りのエキスパート・今井浩次さんに解説してもらった。船釣り入門にもピッタリのターゲットなので、ぜひ挑戦してほしい!
誘い方
船はエンジンを掛けながらの流し釣りだから、潮先の釣り座に当たったらラッキーだ。
小型のイシゴカイはそのまま1匹付けでもいいが、大きめのアオイソメをエサにするときは3cmほどの長さに切り、ハリ軸に沿わせて真っ直ぐになるよう刺すのがコツ。エサが丸まっていたりすると、水中でクルクル回って仕掛けが絡みやすいし、キスの食いも悪い。
リールをフリーにして仕掛けを底まで落としたら、すぐにイトふけを取ってミチイトを張り気味にして、オモリでトントンと底をたたきながらアタリを待つ。底トントンを4、5回繰り返したら、今度は聞きアワセする感じでサオを使ってゆっくり30~40cm誘い上げ、エサを動かしてキスにアピールする。
アタリとアワセ
誘う動作を繰り返していると、サオ先をビビッと震わせるキス独得のアタリが出る。
キスの活性が高いときは、このアタリが出た時点ですでにハリ掛かりしていることが多いから、大きなアワセは必要ない。軽くサオを立てるだけで十分だ。
問題はビビッとしたアタリがあるのにハリに掛からないときだ。エサ取りの可能性もあるが、何らかの原因でキスが食い渋っている場合が多い。こういうときは、ビビッとしたアタリが出ても即アワせずに、サオ先を下げてミチイトを送り込みながら一呼吸待ってみる。
そして、次に出たアタリで聞きアワセしながらサオを立てると、うまく掛かる場合が多い。
一呼吸待ってから聞きアワセしてもうまく掛からないとき、今度はエサを小さくしてみる。ハリに少ししかエサが残っていないときでも、うまく誘えばキスは食ってくるし、エサが小さいために食い込みがいいのか、一発で掛かることが多い。このときの誘いは、小さめのストロークで優しくゆっくりがいいようだ。
最近は、大阪湾でも少なくなったがガッチョ(ネズミゴチ)が多い釣り場では、速めの誘いが効果的だし、底が粘土質のポイントに多いテカミと呼ばれるイトヒキハゼが多い釣り場では、底から30~40cm以内というキスの泳層を意識しながら、底を少し切って流すと被害が少なくなる。
オススメ料理
キスも25cmを超える良型になると、一瞬ドキリとするほど鮮明なアタリがくるし、巻き上げる途中で横走りして存分に引きを楽しませてくれる。
こんな良型が釣れたとき、三枚に下ろした身を酒で洗い、2、3時間陰干しにしてから炙って頂く風干し(かざぼし)が最高。
中小型は南蛮漬けがお勧めだし、片身で一貫のにぎり寿司にでもすれば、家族全員喜ぶこと間違いなしだ。
<今井浩次/TSURINEWS編>