氷締めや酒締めをすることで起こる、サカナの「仮死状態」とはどういう状態なのでしょうか。
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サカナの仮死状態とは?
ではこの仮死状態とはいったいどのような状態なのでしょうか。
まず仮死状態についてご説明します。
仮死状態:呼吸や心拍の一方または両方が停止し、意識もなく、外見上死んだかのように見えるが、自然にまたは適切な処置により蘇生する余地のある状態。
を指しています。つまり死んではいないのです。
氷締めと酒締めによっておこる仮死
死の定義にもよりますが、このウナギや甲殻類の氷締めや酒締めによっておこる仮死状態では、氷締めの場合では脳に血液が送られなくなる前に細胞の機能が停止し、脳や体が休眠状態に入っている状態。
酒締めでは脳は活動を続けてはいるが、機能しなくなっている状態を指していると考えられています。
そのためしっかりと対処することでこの仮死状態からは抜け出せるのです。
生き返る?
酒締めついては、急性アルコール中毒と同じ状態の為、多臓器不全を起こして死んでしまうパターンが多いでしょう。
しかし、氷締めに関しては、通常の水温(20度前後)よりも少し高い温度の水に入れ、多くのエアレーションをすることで復帰することが多いです。
積極的に勧められる行為ではないかもしれませんが、例えば「釣ったサカナを取り敢えず氷バケツに入れたけど、やっぱり小さいからリリースしてあげる」時などに活用できるかもしれません。そのままの状態で海に戻してしまうと、間違いなく死んでしまうので、前述のような環境で様子を見て、しっかり泳ぎだしてからリリースしてあげて下さい。
基本的に締める行為は、その瞬間に命を頂戴することを意味しています。美味しく食べてあげることが最大の供養と言えるかもしれません。
<近藤 俊/サカナ研究所>