今回は、平谷湖フィッシングスポットの管理人として、また8年間ほぼ毎日行ってきた初心者ルアー教室のインストラクターとして、感じたことを生かして皆さんにエリアトラウトの楽しみ方と攻略法を紹介したい。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 服部鱒宏)
サマートラウト攻略法
夏のエリアフィッシングの攻略のキモをご紹介しよう。
場所選択で攻略
エリアフィッシングでは、ポイント(釣り座)選びが最も優先する項目になる。管理されている釣り場ということで、ポイント選びをおろそかにしがちだが、他の釣り同様にポイントにはこだわってほしい。
夏のエリアの好ポイントは、水の動きのいい所だ。逆に冬は水の動きはそれほどでもないが、水温が高い所の方が好ポイントになる。季節によって好ポイントになる条件は違う。
夏の好ポイントの代表はインレット付近。エリア内の水より冷たく、溶存酸素が豊富な川からの水が流入するインレットに、元気な魚が集まってくるからだ。
次に意図的に設置された装置よって水が動かされる、水車やリプル(水平型水車)の流れ付近。水車は主に表層の流れを作り、水面にはさざ波を起こして、酸素の供給と遮蔽の効果があり好ポイントとなる。
またリプルは上下の対流を起こすことにより、底層へも酸素供給を促し、魚の居心地のいい環境を作り出す。リプル を各エリアの中央付近に設置することによって、場所ムラが少なくなるよう工夫している。
時間で攻略する
日が昇り切った真夏の日中は、水温が20度近くに達することがある。そんな日でも、気温の低い早朝は真夏のチャンスタイムだ。土日祝日の放流狙いや平日は朝イチの活発な時間帯を狙おう。
日中は風が吹くタイミングや、雲が流れてきて日陰になるタイミングが狙いめ。風により水面にさざ波が立つと、水中に空気中の酸素が取り込まれ活性が上がる。
また、魚から釣り人が見えにくくなって(遮蔽効果)警戒心が解かれ、魚は興味があるものに素直に反応し釣りやすくなる。雲により日陰になると、まぶしくてうつむき加減の魚たちが上を向き、ルアーに向き合うようになってくれる。
さらに太陽が周囲の山に沈み、日影が増えてくる午後も活性が上がる。平谷湖では日が沈むとヒンヤリと涼しく感じる。トラウトにとっても過ごしやすくなり、再び活性が上がるのだ。
続いて夕方にもチャンスが訪れる。午後4時からのエサやりタイムに向けて、3時ごろから活性が上がってくる。夏は時間を意識して攻略するといい。
サイトで楽しもう
平谷湖をはじめ、夏のエリアはクリアウォーターが多い。クリアウォーターの楽しさはサイトフィッシングができること。自分の操るルアーにバイトしてくる姿を見ての釣りは、普段の生活では体験できないルアーフィッシングならではのドキドキを味わえる。
見て釣る重要性
クリアウォーターでは水中を見て観察することが重要だ。まずはポイント選び。どこにやる気の魚がたくさんいるのかを知り、最優先するポイントを選ぼう。
次に自分の操るルアーを見て、意図する通りルアーを操ることができているのかをチェックできる。「このルアーの適正スピードはこんなに速いのか」、「このルアーはレンジキープしやすい」、「こう操作すると、こうアクションする」などマッディーウォーターでは気づかなかったことを、水中を観察することによって知ることができる。
さらに大切なのは、1投ごとに自分のルアーの周囲の魚を観察することである。「食い上げてくるのでもう少し下のタナを狙おう」、「ゆっくり巻くとチェイスはあるが食わない」、「速く巻くと潜んでいる高活性魚が反応する」などの情報を得ることができる。
サイトフィッシングは見て楽しいのと同時に、ルアーの操作、魚の習性などを知り、水中をイメージすることができるようになる。観察して推測し、実践してみる。そこから得られた水中のイメージは、手掛かりが少ないマッディウォーターでも生かすことができる。
クリアウォーター攻略のコツ
クリアウォーターは水中が見やすいメリットがある反面、魚からは釣り人が見えているというデメリットがあることを忘れてはいけない。クリアウォーターならではの不利な点を知り、対処することが攻略のコツだ。
水中への観察力を強化する必要もある。まずは水面のギラつきを減らし視認性を向上させる偏光グラスを、目の保護も兼ねて着用してほしい。
立ち位置も重要。水面が山や林など影を反射する方向にポジションを取ると、水中が見やすくなる。一方水面が空を反射する方向にポジションを取ると水面がギラつき、水中が見えずやみくもにルアーを投げるだけになりかねない。