遠投記録保持者が教える「遠くに投げる」コツ:ナイロンラインの長所短所

遠投記録保持者が教える「遠くに投げる」コツ:ナイロンラインの長所短所

最近は使われることが少なくなってきたナイロンラインですが、ナイロンにはナイロンのよさもあります。今回は投げ釣りにおけるナイロンラインのメリットとデメリットを紹介します。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター松尾幸浩)

アバター画像
松尾幸浩

1954年兵庫県三木市生まれ。全日本サーフキャスティング連盟兵庫協会神戸投翔会名誉会長。DAIWAフィールドテスター。キス数釣り競技から大物狙い、遠投競技まで投げ釣りのあらゆる志向をこなすオールラウンダー。

×閉じる

海釣り 投釣り

ナイロンラインの歴史

私はテグス(天蚕イト)を使ったことがあります。まぁ60年ほど前の話しで、これはテングスサンやクスサンの蚕から、釣りイトとして作られたもので、もちろん投げザオもリールもありませんから、イトにオモリとハリを付けて、グルグルと手で回しながら投げたことを覚えています。飛んだといっても10mほどですから、ほんのチョイ投げで、ミミズをエサにすると手の平ぐらいのフナがよく釣れました。

ナイロンがいつ発明されたのかは分かりませんが、この画期的な発明であるナイロンで、最初は女性用のストッキングを製作して爆発的に売れたそうです。それを応用してナイロン樹脂(ポリアミド)で作られた釣りイトが完成し、現在に至っています。爾来、釣り全般にこれほど貢献したものはないと思うほど、ほぼ全ての釣り人が使われているのではないでしょうか。

ただ、最近はPEラインやフロロカーボンラインがよく使われ、以前よりはナイロンラインを使う人が少なくなってきました。私は、投げ用ラインとして使用しており、砂浜からカレイやキスを狙う場合は2~3号の細いライン、波止からカレイ、チヌ、スズキを狙う場合は5号、磯や根掛かりの多い釣り場でアイナメやマダイなどを狙う場合は太イトの8号を主に使っています。

今回は、このナイロンラインのメリット、デメリットを紹介したいと思います。

ナイロンラインのメリット

まずはナイロンラインのメリットを紹介します。

価格が安価

やはり安いのが一番だと思います。フロロカーボンラインと比べても、かなり安く、今では100円ショップでも細糸なら号数別に販売されています。長くは持ちませんが、数回で巻き直すなら十分に対応できます。また、ラインが磨耗したり、絡んだりした際、心落ちすることなく切れるのは安価だからこそですね。高価なPEラインでは切るのに勇気が要りますから。

軟らかくてしなやか

投げ用ラインとしては、フロロカーボンのように強い張りがないため、リールのスプールによく馴染んでスムーズに巻くことができます。また、性質上しなやかで、巻きぐせがつきにくいため、トラブルが軽減され、ビギナーでも扱いやすくて重宝されます。

ただ、スピニングリールはヨリが入る構造になっていますので、頻繁に使用すると、チカライトとラインのつなぎ目にはヨリが溜まることがあります。ヨリが入った場合はチカライトを外し、ラインの1mぐらいから先の方へ強く引っ張っていくとラインはクルクルと回ってヨリが取れます。チカライトはテーパーの細くなる方へ引っ張るとヨレが取れますので、ヨリを取って真っ直ぐになれば再度ナイロンラインとつないで使用してください。

ラインに伸びがある

ナイロンラインは伸びが大きいため、ラインがクッションの役目をして、大物がヒットした場合でも強烈な魚のパワーを吸収しながら巻き取れるので、魚が無駄に暴れることなく、早く寄せられてバラシも軽減されます。また、ラインの伸びがキスなど警戒心の強い魚に対しても違和感を与えませんから、大ギス狙いはナイロンラインを使う人が多いです。

比重が小さく抵抗が少なくよく飛ぶ

やはり軽いので空気抵抗も少なく、またガイドの滑り抵抗も少なくて飛距離が出ます。投げ用ラインとしては最高ですね。

次のページではデメリットとメンテナンスを紹介