佐賀県に「エビフライ」の自動販売機が登場し話題となっています。しかし、実は他にも各地に「海産物を売る自動販売機」があるようです。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
エビフライの自動販売機
佐賀県西部に位置し、福岡県との県境も近い上峰町。ここにある「エビフライ専門店」が4月頭に、「エビフライの自動販売機」を店舗脇に設置し、話題になっています。
プリプリの食感が「クセになる」と好評のエビフライは、2020年度には約29万本も売り上げた人気商品です。上峰町は内陸にある県でエビの漁獲があるわけでもなく、またエビフライがとくに有名というわけではないものの、エビフライの有名な名古屋からも注文があるほどの人気ぶりといいます。
自販機での販売も行うことで、対面によらない販売による新型コロナウイルスの感染予防や、営業時間を気にせず来店・購入できることによる顧客満足度の向上を期待するとのことです。(『佐賀にエビフライ自販機 名古屋から“逆指名”される人気ぶり』毎日新聞 2021.4.10)
佐賀県には既に「ノリの自動販売機」が
エビフライの自動販売機と聞くと非常にユニークな試みに思えますが、実は佐賀県では以前に、別の「海産物の自動販売機」が稼働したことがあります。それは「ノリの自動販売機」。
この自動販売機は2019年に設置されました。有明海で生産され、日本一の品質とも言われる佐賀県名産の「有明海苔」をパックに詰め、4枚300円で販売していました。しかもただのノリではなく、取扱説明書ならぬ「海苔扱い説明書」を食べられるインクで印刷したユニークな商品だったためとても話題となりました。
自動販売機でのノリの販売は、当初は2カ月間限定の予定だったそうです。しかし「ノリの自動販売機なんてユニーク」「本当にいいノリを使っている」と話題になり、最終的には2019年度末まで延長されたといいます。(『「海苔扱い説明書」 佐賀空港自販機のノリ、デザイン刷新』佐賀新聞 2019.12.12)
まだある「海産物の自動販売機」
実は海産物の自動販売機は、日本各地にまだまだ存在しています。
長崎県雲仙市にある諫早湾漁協の瑞穂直売店では今年の3月、アサリやカキの自動販売機が設置されました。午後5時以降の仕事帰りにも海産物を購入したいという住民の声を受けてのもので、好評を受けて今後はアナゴ、カニ、シタビラメなども販売する予定だそうです。
また、千葉県船橋市にある水産会社は、東京湾の特産とも言える「ホンビノスガイ」の自動販売機を2月に設置しました。商品には貝の入荷日が貼られ、自動販売機のなかで生きたまま冷蔵保管されているそうです。生命力が強く味が落ちにくいホンビノスガイならではの販売方法とも言えるでしょう。
コロナの影響で対面販売が規制される中、今後もこのような自動販売機の需要は増えていくかもしれません。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>