今回のテーマは「初夏の西湖を楽しもう」。山梨県富士河口湖町にある海抜900mの西湖は今まさに好期。これから夏に向かって両ダンゴの底釣りや深宙で、良型の強引を楽しめる。クリアレイク特有の難しさはあるが、ポイントと釣り方が決まれば40~50kgの釣果が珍しくない。今回は舟宿・丸美からの実釣記を交えながら、同湖の楽しさを伝えてもらおう。まずは実釣記第一弾からお届けしよう。
当日のポイントとエサのブレンド
5月17日(木)、午前5時に貸しボート民宿・丸美から出舟。
西風が強めに吹いていたので風裏になりやすい大ジラ(モウトドの鼻東側のワンド)に引き舟で向かう。
10分ほどで到着。
陸っぱりの先釣者がワンド奥に2人いたので、その人たちの西側に舟を岸着けする。
舳先を陸に上げて左右のロープは岸辺の溶岩や太いマツの根に結ぶ。
時折やや右方向から風が吹き抜けるので、舟の向きを少し左に向ける。
15尺竿を継ぐと、水深は3本弱。
カケアガリになっており、底が見えるギリギリのラインを狙うなら11尺竿で十分底に届くが、浅場はヘラの警戒心が高いので15尺竿を選んだ。
エサは両ダンゴ。
ブレンドは『ペレ底/マルキユー』、『ダンゴの底釣り夏/マルキユー』、『ダンゴの底釣り冬/マルキユー』が各60㏄に水120㏄。
『バラケマッハ/マルキユー』を入れて仕上げるはずだがなぜ省いたのか?
「魚の濃いエリアだからです。モジリがそれを証明しています」
取材の2日前から現地入り(所属する関東へら鮒釣研究会5月例会の試釣と例会)しているので大ジラを含めて、どこでどのくらい釣れるかを熟知している。
それと到着時のモジリ具合を鑑みて「これなら魚はいる」と判断し、寄せるよりもエサ持ちを重視するためにバラケマッハを抜いた。
開始から強気のセッティングで挑んだわけだ。
右隣に入った関べらのベテラン会員の石下氏は「ここには魚が居着いています。バラけるエサはかえって魚の上ずりを助長するだけ。きっと今日はいい取材になりますよ」と魚影の濃さに太鼓判を押す。
エサ打ち開始
タナを上バリトントンにセットして5時45分からエサ打ち開始。
左が浅く沖が深い複合傾斜の底なので、底立てした位置にできるだけ正確に打ち込む。
「複合傾斜の底の場合、振り込みがショートしてしまうのは最悪です。大ベタのタナになってしまいますから。左右の風流れを考慮して、エサ打ち点にも一考が必要です」
つまりはこうだ。
現在は右から左への流れがメーンだから、オモリ(エサ)の着水点は底立て点よりやや右に。
そしてウキはさらに右にズラす。
こうすることでナジんだ時に、エサが底立てした地点に入りやすくなる。
魚が多くいて活性が高ければ、この動作を省いてもアタリはでる。
しかしカラツンやスレを防ぎたいのなら、底立てした位置になるべく毎投打ち込むように心がけたい。
怒涛の連続ヒット!
同54分、待望のファーストヒット。
好調だと言われていても、1枚目が出るまでは油断できないのが野釣りだ。
ここから怒とうの連続ヒットが始まる。
はじめの段階ではナジんで戻してチクッの教科書アタリが多かった。
しかし、そのうちナジみ際のアタリが出始める。
アタリが多いのは大歓迎だが、ラフに扱ってしまうと後が続かないもの。
少しでも上ずったと判断すると、アタリを送ってエサが底付近になるべく留まるようにする。
「早いアタリを狙う釣り方でも当日の時合いなら釣れるでしょう。しかし、早いアタリはガサベラが比較的多いのも事実です。例会なら釣れることを重視しますが、楽しむのなら教科書アタリを狙って型をそろえる方を推奨します」
いつもそうとは限らないと前置きしながらも、どこの釣り場でも良型地ベラは戻してからのアタリで乗ることが多いと話す。
当日はその傾向が顕著で、アタリを送りながら釣っていると傷の少ない腹パンが交った。
「ただしアタリを送るということは、それだけエサがハリに残っていなければなりません。触りがあって(戻して)アタリに繋がらないのはエサ持ちが悪いと判断してすぐに打ち返した方がいいでしょう。またエサ持ち(タッチ)の再考が必要でしょう。」
時間10枚以上のペースで釣り込んだが、やがて予報を裏切るように風は収まってしまう。
大ジラにいる意味が薄れたので、当初予定していたクワルビ(浜)に移動を決めた。
道具を片付けたのが9時25分のことだった。
ここまでの釣果は38cmを頭に40枚であった。
<戸張 誠/TSURINEWS編>
貸しボート民宿・丸美