イセエビの密漁で検挙される人が、2020年は全国的に増加していたようです。背景に、コロナ禍が影響しているという見方もあるようです。
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イセエビ密漁の検挙数が増加
三重県や同県鳥羽市、鳥羽海上保安部などでつくる鳥羽市密漁対策協議会は8日、2020年のイセエビ密漁の取り締まり結果を発表しました。それによると、密漁による漁業法違反(漁業権の侵害)容疑などで検挙されたのは15人となり、前年の1人から大幅に増えたとのことでした。
密漁手段の多くは「釣り」
検挙されたのはいずれも漁港内などの共同漁業権が存在する地区で、一般的に密漁行為として連想される「素潜りやダイビング」ではなく、竿を使って行う釣りで漁獲していました。転売等が目的ではなく、家庭などに持ち帰って食べるために密漁していたと供述しているそうです。(『コロナ禍の釣り人気が影響?イセエビ密漁で検挙者大幅増』朝日新聞デジタル 2021.1.9)
実はイセエビは地域によっては釣り物としてポピュラーで、安価な餌と仕掛けで比較的簡単に釣れてしまう海産物です。その一方で高価な資源であるため多くの場所で非漁業者による密漁が後をたたず、問題になっています。
検挙数増は「コロナ禍」が影響?
三重、愛知両県を管内に持つ、海上保安庁第4管区海上保安本部のまとめでは、2020年の釣り客による事故は34人となり、過去15年で最多の数字を記録したそうです。
昨年は新型コロナウイルスの問題で外出が大きく制限されましたが、その結果として「三密にならない」アウトドアが脚光を浴びました。それに伴い、気軽なアウトドア遊びとして釣りが注目され、釣り人が各地で大幅に増加しました。これが上記の事故数増加にもつながっていると考えるのが自然です。
そしてイセエビ密漁の検挙者は、17年の17人から18年は5人、19年は1人と減少していたのですが、2020年はやはり増加しています。魚釣りに出る人が増えた結果、イセエビの釣果を手にする人も増え、それが検挙数増につながったという一面もあるのではないかと考えられます。