鮮やかな新緑から深緑へ移り変わり、季節は夏へとシフトする。それに合わせて待ちに待ったアユ釣りの解禁もやってくる。あの独特の釣り方からくるアタリは何尾釣っても常に新鮮。日本全国の河川で次々と開幕しているアユのトモ(友)釣りを紹介しよう。今回は勝負の早い「引き釣り」の方法を紹介したい。引き釣りは通常、チャラ瀬や早瀬など流れが速いポイントで釣る方法。オトリの泳ぎをサポートしながら効率良くポイントを釣って(通して)いく。
オトリの付け方と送り出し方
【オトリの付け方】
まずはオトリをつける。
腰を落としタモの下部を水に浸け、左手を水で冷やしトモ舟からオトリを取り出してタモへ移す。
この時にオトリをリリースしてしまわないよう注意。
オトリのつけ方は、
1.目を隠すように軽く押さえながらオトリを優しく握る。
2.鼻カンの先を鼻にあて、一気に真っすぐ通す。
3.逆さバリを尻ビレの後ろに皮をすくうように刺す。
4.掛けバリの位置を確認する。
【オトリの送り出し】
引き釣りでは自分の立ち位置の正面辺りを釣る。
言い換えるとオトリを自分の正面に配置し、自身が動きながらオトリのポイント移動を実行する。
オトリをつけたらつかんだまま水中へ。
サオを立て、オトリを自分の正面やや下流側に放しラインを張ったまま「鼻カンで水流を感じるイメージ」で沖に誘導する。
その際、浅い場所なら水面直下を、水深がある場所では底近くの石裏を転々とさせるイメージで誘導するとオトリ操作がしやすい。
この時に「ドカーン」と野アユが掛かることが多いので常に気を緩めないこと!
オトリがサオ下まで出たら、サオを上流側に寝かせてオトリを止める。
引き釣り時のサオを寝かせる角度は、水面とほぼ平行。
引き釣り向けのサオでは、寝かせた時に一番軽く感じる角度で、サオ先が目の高さ&視野に収まるぐらいとなるのが適切な位置と考えればいいだろう。
私は、サオ先~目印~狙いのポイントが視野に収まるような範囲で釣るように意識している。
釣り方とアワセ方
【釣り方】
引き釣りは、イトを張った状態をキープし、上流に向かってオトリを引きながら泳がせる方法。
泳がせ釣りと違いオトリを次々にポイントを通す(泳がせる)ため勝負が早く効率的に釣ることができる。
その反面、オトリが弱りやすいといった欠点を持つため、オトリ操作には繊細さが必要だ。
オトリを手元に回収したときに、鼻に鼻カンの痕がくっきり残っているようでは、無理やり引いているということになるので、そうならないように練習しよう。
引き方は、腕で引かずに脚で引く。
具体的には、構えたサオ(腕)を動かさないようにし、オトリの反応を感じながら一歩、また一歩…と上流方向に移動しながら「石裏から石裏へ」、そしてオトリの姿勢が真っすぐ(頭が底に向かないよう)のイメージで引いていこう。
この時にイトが張る感覚・緩む感覚、いわゆる「ツンツン」となるような引き方をするとオトリが弱ってくるので気をつけること。
〝ここぞ〟と思ったポイントでは、引くのを止め、水中イトにイトフケ(オバセ・フクロ)を作って泳がせたり、サオを立て気味にしてオトリを上下に動かすアクションを加えて誘ってみる。
引いている時に重たく感じた場合はオトリが「イヤイヤ」しているので、引くのを止めてオトリを落ち着かせ、再度ゆっくりと引いてみる。
イヤイヤしている時は近くにいる野アユを恐れている場合もあるので誘いをかけてみる価値もある。
流れが強く、引いてもオトリが付いて来にくいと感じたら、0.5~1号のオモリを鼻カンから20cmほど上に付けてやってみよう。
すると釣りやすくなる。
この場合は、オトリを引くイメージではなく、オモリで流れの抵抗を受けながら引くイメージで。
驚くほどオトリが付いてくるので釣りが楽になるはずだ。
【ヒット~取り込み】
アユが掛かるとラインを張り気味にしている分、手元に強烈な衝撃が伝わると同時に目印がぶっ飛んだり、一気に水中に引き込まれたりで思わず雄たけびをあげてしまう興奮度。
基本は「向こうアワセ」
すぐにはサオを立てず、引いていた時の姿勢のままサオをしっかりと曲げて掛けバリを食い込ませる(タメる)。
そして徐々にサオを立てる。
掛かりアユが浮いて来たら「引き抜き」をやってみよう。
サオの弾力を利用して掛かりアユを水から切れば自分の方に飛んでくるので、サオでコントロールしながらタモで受ける。
流れの強いポイントでヒットした場合は、サオを寝かせたまま流れの緩い大石の裏や岸寄りの場所に誘導してからサオを立てて引き抜こう。
<藤本 繁樹/TSURINEWS編>