初夏を思わせる日が多くなり、海を渡る風も心地いい。休日の過ごしかたとしてオススメしたいのが、半日船スタイルの船釣り。なかでも手軽な道具で楽しめるシロギスが面白い。本格的にのめり込めば、非常に奥深いものの、気軽に狙えるターゲットとして、初心者への間口の広さが特徴だ。
釣況と基本タックル
4月21日(土)、東京湾金沢八景(漁港内)の進丸の午前船に釣行。
通年、シロギスを看板に掲げる同宿。
川島正船長に近況を聞くと、「5月に入れば、もっと上向いてくるのですが、今は水温の上下動が激しいこと、潮の濁りの変化が大きいことも重なって、簡単に釣れる状況ではありません。1尾に向き合ってアタリを探り、しっかり掛けるまでのプロセスが求められます。ベテラン向き……な展開ではありますが、これが本来の釣りでもあります」と、楽観視はできない様子。
午前7時半、19人が集まる。
ベテランはもちろん、夫婦やカップル、若者のグループ。
さらに親子連れと、シロギス船らしい顔ぶれ。
航程20分で中の瀬のポイントに到着。
水深18mでスタートとなった。
仕掛けは胴突き1本バリを使用。
付けエサの青イソメは、8cm前後とやや長めに装餌する。
アンダースローでキャストし、オモリが着底したら、オモリを50cmほどの幅で持ち上げる。
竿の角度をあまり変えずにオモリをカーブフォールさせ、付けエサを泳層に漂わせるイメージで誘っていった。
誘いのリズムや誘ったあとの食わせの間などは、魚の活性に合わせていくことが重要。
エサの追いが低ければ待ち時間は長め、活性が高ければ短めというのがおおよその目安だ。
キャストした仕掛けが船下まできたら、一度回収。
狙うラインを変えて広範囲に探っていく。
アタリのポイントで船中活況
仕掛けのテンションを抜き気味にして、やや長めに待ちの時間を入れていたところ、ミチイトが弾かれるようなアタリ。
エサがやや長めなこともあり、引きに対して、竿先を送り込むように、ひと呼吸おいてから、ゆっくりと聞き上げ。
アタリが増幅したところで、アワセを入れ、一定のスピードでリーリング。
小気味いい引きを堪能しながら、姿を見せたのは丸々と太った23cmの本命。
この1尾が船中ファーストヒットとなった。
同じ釣り方を次投以降に試みるものの、アタリまでが遠い。
待ちの時間をさらに長くすると、メゴチやハゼ類が掛かるようになる。
出船前、船長の言葉どおり、一筋縄にはいかない気難しさを実感する時間が流れていった。
船中でもなかなかアタリをだせない人が多く、苦戦が続く。
流す場所をまめに変えながら、少しでも活性の高い魚を求めて操船を続けてくれた。
ベテランがようやくポツポツと本命を手にする状況が続くなか、9時半ごろ、ややポイントを西寄りに移動させた水深17mでアタリが出始める。
魚が溜まっている筋にかかったようで、この流しで女性や初心者も笑顔で本命を手にすることができた。
釣果に差が出る結果に
だが、盛り上がりもこの一時のみ。
南西の風が一気に強まってくると、ポツポツと出ていたアタリは消滅してしまい、その後、再び沈黙の時間となってしまった。
ハリスを長めにとり、仕掛けを極力動かさずに、潮に付けエサを漂わせるようなイメージで狙っていくことで、終了時間までポツポツと本命を拾っていくことができた。
10時50分に終了のアナウンス。
船中釣果は15~25cm0~28尾。
竿頭は右舷トモのベテランで、私は16尾。
ほとんどの人が5尾前後という釣果だった。
下船後、川島船長に今後の展望を聞いてみると「今日は厳しい釣りになってしまいましたね。ですが、シロギスの活性が切り替わる時期と重なります。今後は水温の上昇や潮濁りが入って好転するはず。釣れる場所が広がってきますし、数・型どちらも楽しめるシーズンに突入してきます。初心者には、出船前に釣り方のレクチャーをていねいに行いますので、ぜひ遊びに来てください。」と締めくくった。
活性が上がらず、気難しい一面を見せたものの、1尾と向き合っていくという意味では、シロギス釣りの面白さと感じた今回の釣行。
船長の言葉どおり、状況が良化する条件が揃ってくるだけに、軽快なシロギスの引き味を求めて、休日のレクリエーションプランに加えてみてはいかがだろう。
<週刊つりニュース関東版 APC・田中義博/TSURINEWS編>
▼この船について
進丸
エリア:東京湾(横浜)エリア
出船港:金沢漁港