伊藤さとしのプライムフィッシング。テーマは「マッシュエサは難しくない」。近年マッシュの釣り(宙の大型狙い)が脚光を浴びている。今回はマッシュの吸水時間について。
(アイキャッチ画像提供:週刊へらニュース 伊藤さとし)
マッシュエサの吸水時間は「10分以上」
マッシュエサの実践編として、エサの作り方や使い方の注意点についてマルキユー・マッシュポテト徳用(以下・徳と表記)をベースに使うと仮定して話を進めていきましょう。では最初は作り方についてお願いします。
「どのようなブレンドにしろ、徳をベースにするなら、必ずやっておきたいのが水の完全吸収だろうね」
それはつまり、水を入れたらしっかり放置させるってことですね?
「そうだね、最低でも10分以上は放置したい。と言うのも徳は麸系エサに比べて、かなりの吸水性がある。だから完全に水を吸わせるには、相応の時間が必要になるんだよね」
吸水時間が短いと…
吸水性がいいとは具体的にどの程度ですか?
「たとえば徳3に水3で溶いたとするよね。それでもしっかり放置して練り込めば、それなりのエサに仕上がる。ところが麸系エサでそれをやったら、ほとんどの銘柄でドロドロのエサになってまとまらない」
たしかにそうですね。かなりの水分量を必要とするダンゴの底釣り冬でさえ、粉と同分量の水分ではネチョネチョ過ぎて、ほぼほぼエサにならないでしょうね。では吸水に時間をかけないとどうなりますか?
「たとえば数分で吸水をやめたとして、そのエサを触ってみるとかなりベチョッとして軟らかいはずだよ。でもまあいいかって、そこから練りを加える。でもなかなかまとまらないから、まとまるまで練ってしまう。でも練り込んでいる間にも吸水していくわけだから、ハリ付けできる程度まで練ってしまうとあとで余計なネバリが出過ぎてしまうんだよね。でもしっかり吸水させた後から練れば、吸水不足から練るよりも練る回数が少なくて済む」
つまりハリ付けできる硬さ(ネバリ)を基準にするなら、吸水をしっかりさせたほうが吸水不足よりも練る回数が少なくなるわけですね。
「そういうこと。しかも練る回数が少なければそれだけボソ感を残せるってことになるから、後の調整幅も広がる。一度ベトッとさせてしまったマッシュにボソ感を出すのは、意外に厄介な作業だしね」
タッチに合わせた練り込みを
マッシュにとって給水が大切だというのは理解できました。だとしたらポイントに到着したら、竿掛けや竿を出す前にまずはマッシュの吸水が先が原則ですね。
「そういうこと。まずはマッシュに水を吸わせて、次にタックルの準備。そして最後にエサ作りの仕上げ。釣りの最中であれば、ボウル内のエサが残り三分の一程度になったらマッシュに水を吸わせておくといだろうね」
ところで今は徳だけで話を進めましたが、実際は徳に他のマッシュエサをブレンドしたりしますよね。たとえばマッシュダンゴとか巨べら、尺上などでしょうが、その時も吸水に関しては同じですか?
「もちろんだよ。徳にどのような銘柄を混ぜるにしろ、それがマッシュ系のエサであるなら吸水にはしっかり時間をかけたほうがベターだね」
練り込みの話が出ましたし実釣編のタックル紹介でもありましたが、マッシュを吸水させたら練るのがセオリーなのでしょうか?
「どの程度のペトコンにするかにもよるよね。極軟で使いたいなら練り込みを増やすか、粘力やカルネバなどのネバる素材を入れないと、そもそもエサを持たせられないでしょう。でも硬いタッチで使いたいなら、そこまで練らずともエサを持たせられる。要は自分が使いたいタッチに合わせた練り込み度合いを見つければいいんだよ」
次回も「マッシュエサは難しくない」です。
<週刊へらニュース 伊藤さとし/TSURINEWS編>