近年、岐阜県郡上市・長良川の使者と呼ばれるサツキマスは幻の魚となりつつある。レア魚との再会を求め、6月に長良川中央漁協管内へ釣行した。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 APC・松森渉)
長良川でサツキマス釣り
長良川は、大日ケ岳に源を発する全長160kgの言わずと知れた大河川。伊勢湾に注ぎ込む大河川には、地域ごとにさまざまな漁法が根付いて発達してきた。私が住む上流域の郡上では、「郡上釣り」と呼ばれる伝統的な釣り方が生まれ、アユ、アマゴ、サツキマスで全国に名を馳(は)せている。
しかし近年、長良川の使者と呼ばれるサツキマスは幻の魚となりつつある。平成7年に長良川河口堰(ぜき)が出来て以来、サツキマスの遡上は減少し続け、近年では網漁でも減少、釣りにおいては宝くじ並みの確率でしか釣れなくなった。
サツキマス釣りの魅力
そんななかなか釣れないサツキマスだが、釣り人の姿は絶えない。一度サツキマスに出会った釣り人は、釣り上げたときの感動を忘れないからだ。
私が初めてサツキマスを釣り上げたのは20年くらい前になる。そのころからサツキマスは貴重な存在で、まだ見ぬその魚に恋い焦がれた。
その年はアユもそっちのけでサオを振り続け、ようやく出会えたのが7月半ばだと記憶している。支流.吉田川の島谷エン堤。今でもサツキマスがヒットしたときのことは鮮明に覚えている。喜びのあまり川で「よっしゃー」と叫んでいた。
そして毎年のように5月から6月後半ごろまでは、サツキマスとの再会を求めてサオを振り続けた。再会を果たした年もあれば、再会できない年もあった。近年は再会できない年が続いている。
長良川の状況・タックル
2020年はサツキマス狙いを開始したのが5月下旬。長良川中央漁協管内でサオを出した。今年の5月は渇水続きで、サツキマスの遡上は遅れ気味。関市、美濃市辺りで釣果が上がっていた。私は美濃市辺りを攻めたが無反応。
6月に入り、郡上アユが解禁したあたりで長良川はようやく増水、サツキマスの釣果が郡上でも聞こえ始めた。もちろん釣れた話は片手で数えられるほど。例年なら郡上アユが解禁すればアユを主体に釣りに行くが、今年はなぜかサツキマスを諦められない。
郡上白鳥で良型アマゴ36.5cm
郡上アユが解禁した翌週、郡上白鳥の越佐エン堤下流でサオを出した。川は50cmほど増水して濁りも入っている。
まずは手前の流れから探っていく。オモリが軽く感じたので4Bを2個付けにして再度流していくと、3投目に確かな重量感。サオは満月に曲がり、ヒットした獲物は増水した太い流れの流芯へ突進する。二度三度と流芯から引き離し、手前に寄ったところで息を吸わせ、横たわったところでタモ入れ成功。
その体高に思わずビックリ。まるでヘラブナのような体高だ。釣具店で計測すると36.5cm800gだった。サツキマスかと思ったが、パーマークがあったのでアマゴだ。残念だったが、良型のアマゴに出会えてうれしい一日になった。
サツキマスとの再会を求めて
今年の長良川は、なぜか体高のある幅広アマゴが釣れている。郡上では、この体高のあるアマゴのことを、ホウバの葉に似ていることから「ホウバあまご」とも呼んでいる。
その後も何回かサツキ狙いで釣行したが、出会えるのは良型のアマゴばかり。しかし、サツキマスは必ず長良川にいる。サツキマスを狙えるチャンスは残りわずかだが、再会を求めて長良川でサオを振っていきたい。
<週刊つりニュース中部版 APC・松森 渉/TSURINEWS編>
郡上漁協