家族から「キスのフライが食べたい」というオーダーを受けた筆者。約10年ぶりに陸っぱりからの投げ釣りに挑戦した。本命のシロギスを22匹キャッチした三重・有滝堤防での釣行をレポートしよう。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・松永美則)
投げ釣りでシロギス狙い
どこかへ釣りに出かけようと、天気予報と潮汐表を見て釣行日を考えていると「キスのフライが食べたいんだけど、この時期じゃない?」という妻からのオーダーが入り、潮回りが良くて晴れ予報の6月21日に釣行計画を立てた。
キスは「浜の女王」という異名を持ち、白く透き通った魚体はとてもきれいで、食べて美味しい釣り人に人気のターゲットだ。例年はボートから釣っているので、釣友に提案したが、仕事の都合などで予定が合わず、船舶免許もない私は、堤防からの釣りを計画した。
ただ、陸っぱりのキス釣りは10年以上しておらず、25年前の投げ釣り用の道具を引っ張り出し、ラインを巻きなおすところから始めた。釣り具を集めたり、整理したりの時間は、とても心安らぐもの。釣れることをイメージできる至福の時間だ。
有滝堤防でシロギス釣り
釣友から「明和町沖から伊勢市沖では、ボートで多数のキスが釣れている」との前情報を得て、自宅近くの伊勢市にある有滝堤防を選択した。ここは長い堤防が沖に向けて出ており、先端に向かって左側が砂浜、右側が外城田川の河口となってる。
足場も良く、ファミリー向けでもある人気の釣り場だ。キスは満潮に伴って沿岸に寄り、干潮時は沖へ出ていってしまうので、遠投が必要になってしまうイメージ。
当日の潮回り
今回選択した有滝堤防は沖に張り出している分、遠投をしなくても済む上、より手軽に釣るためには満潮の時間を踏まえておくことが重要だと思う。当日は、6時が満潮で12時に干潮になる潮汐のため、5時に起床し、6時前に到着するように出発した。
到着前に海岸線を走っていると、浜辺には釣り人が並んでおり、遠くから見ても堤防の先端には20人近くの人がすでに釣りをしているのが見えた。
「この時間でこの人数とは、失敗したか……」と普段のボートではない堤防ならではの悩みが。無料の駐車場はラッキーなことに1台空いているのを見つけて、車を置くことができた。
天秤仕掛けでスタート
1本を置き竿にして、もう1本を引き釣りで釣ろうと、2本の竿を準備してきたが、邪魔になるといけないので、投げ釣り用の竿1本にした。堤防の先端、浜側に入ることができず、先端から20m戻った辺りの河口側に場所取りをした。
早速、8号のジェット天秤の先に、前日に購入した投げキス用9号4本バリ仕掛けにイシゴカイをつけて投げ込んでみる。河口側のため、前々日に大雨が降った影響がないかが心配でしたが、水色は良く、濁りはない状況。ただ、時期的なこともあり、海藻が堤防に引き上げられている。
一投目から15cmキス
30mほど投げ、ゆっくりと引いてくる。「ビビビッ」というキス特有のアタリが竿先から手元に伝わり、食いついたのが分かる。この心地良いアタリもキス釣りの魅力の一つだ。
早アワセはせず、乗ったのを確認してからリーリング。引きを堪能しながら上げた1匹目は15cmのかわいいキスだった。2投目にも同じ大きさのキスが釣れたが、その後は潮の加減か、アタリが遠のいてしまった。
有滝堤防で釣れる魚種は豊富
周辺の人の釣りの様子を見ていると、ルアーをぶら下げている人、キスを狙って仕掛けを引きずっている人、サビキ釣りをしている人、堤防ヘチにいる根魚を狙っている人など様々。
先端では明け方からサビキ釣りでアジやイワシを大量に釣っている地元の人や、ジグヘッドにワームをつけてフラットフィッシュ狙いの人、プラグを投げて誘っているルアーマンもいる。
地元の人の話を聞いていると、前日には「キスを泳がせてヒラメの50cmクラスが釣れた」とのこと、当日も「早朝から33cmをキャッチした」など、楽しい話が聞こえてくる。確かに追いかけられているベイトが見えたり、沖合でボイルが見られるなどしており、ショアジギングをしてみても面白そうだ。
誘い方を変更
その後、8時を回り、干潮に向けて川から河口に向けて流れ始めた。それまでは投げた後に仕掛けを竿で引きずっていたのだが、潮の流れに乗って天秤が転がってくれているので、引くのを止め、潮任せにした。
ラインを張っていると半円状に誘ってくれる。こうすることで引きずってくるよりも海藻が絡むことも少なく、周囲の人の邪魔にならないようであれば、潮任せの誘いも有効ではないかと思った。