大阪湾周辺で高い人気を誇るルアーフィッシングが「チニング」だ。この釣りに惚れ込んだ「ガチ勢」が好んで使用するのがベイトリールタックルとのこと。理由を解説しよう。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・中西)
シルベラード・プロトタイプ
さて、そんなチニングシーンに、オリムピックがこの春投入したのが「シルベラード プロトタイプ」だ。非常に優れた性能を3万円という価格に押し込み、ベストセラーとなった「シルベラード」のアップグレードモデルで、新素材を盛り込んだ意欲作となっている。どんなアイテムに仕上がっているのか、同メーカースタッフの髙島さんに詳しく聞いた。
新素材について
「2016年に発売されたシルベラードは、すでに何でも乗せみたいなロッドでした。が、釣り人のレベルが上がるに従って当然「もっともっといいロッドがほしい、もっと数取れるスピードアップしたロッドがほしい」という要望が出てくるようになってきました。じゃあどうすればいいのか?ということで目が付けたのが、新素材です。」
「シルベラードプロトタイプにはT1100Gというカーボンと、M40Xという最新の最強カーボンを採用しています。T1100Gはスペースシャトルや航空機に使われているような強度の高いカーボン。そのT1100Gがてんこ盛り使われ、さらにM40Xという最新の高弾性カーボンを、バットをはじめ、適所に入れています。ブランクスにおいては、まさに最新最先端であり、新たしい時代のスタンダードになるものとなっています。」
「この新素材がもたらしたのが、粘りと感度の底上げです。そもそも粘りと感度は基本的に相反する要素で、カリカリのサオほど感度はいいでが粘らない。逆もまた然りです。この相反する要素を、高い次元で両立させたのが、T1100GとM40Xという素材です。」
ベイトとスピニング、それぞれのブランクス
「そして、その新素材に別々の味付けをして、ベイトとスピニングそれぞれのロッドに使用しています。」
「同じML同士で比べると、スピニングの方はちょっとテーパーがきつめの、ファースト感がある設計になっています。ティップは繊細だが、バット、ベリーの復元力をかなり強くしていて、戻りが速い設定です。だから魚をサオの復元力でリフトして、リフトした分だけリールで巻き取って回収するというようなファイトに向いています。つまりスピニング向けの味付けということですね。」
「一方、ベイトの場合はどちらかというと、復元力で魚を浮かすというよりは、リールで魚を寄せる。そのためにラインに極端な負荷がかからないように、それを守るサスペンションとしての役割のアクション、つまりレギュラーにしています。
ガイドの多点配置
「さらに、新素材の採用によりブランクスの戻りと収束が速くなったことをうけ、ガイドを増やして多点配置とし、そのうえで最適化しました。」
スピニングタックルが横風に弱い要因として挙げられる、ベイトタックルに対してガイドが少ないことやブランクスから離れていることを、この多点配置とブランクに沿った配置で、改善することができています。」
「ベイトモデルも同様、フルスペックのチタントルザイトリングガイドを多点配置し、ブランクスのポテンシャルを最大限生かせるようなセッティングにしています。で、その結果、感度もよくなりました。」
「ブランクスがとてもよくなったので、ガイドもそれに追いつくように設計を見直して配置されているというわけです。」
チニングロッドは「シルベラードプロトタイプ」の誕生で新たなステージに突入したのかもしれない。「ガチ勢」目指してベイトモデルもありかもしれないが、私は最強の万能ロッドとしてスピニングモデルがほしくなってきた。