大海原で生きるサカナたちは様々な感覚を使って生活していますが、サカナの視力は人間とはちょっと異なった発達の仕方をしているようです。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
視力自体はそこまでよくない
私たち人間は目で『どれだけ細部まで物を見ることが出来るか』を視力として評価しており、一般的に人間の視力は平均して1~1.5ぐらいが標準です。
一方で、サカナの視力は人間のように物をはっきりとは見ることはできないと考えられており、同じように数字で表すのであれば0.1~0.2程度だと言われています。
魚の中でも特に視力が良いと言われているのがマグロやカツオなどの回遊魚ですが、それでも視力は0.4程度。
人間の世界で0.1しか見えていない状況ではおそらく生活にも支障が出てしまい、メガネは必須と言えるでしょう。
ただでさえ見通しが悪い水中なのに、特に視力がいいわけでもない。水中にいるサカナはいずれも非常に【近眼】だったのです。
特別に発達した視力
しかし、サカナは視力が悪いと聞いて「おや?」と思った釣り人も多いと思います。
サカナは非常に近眼なわりに、釣り人の垂れるイトやエサ、ハリなどをしっかりと見極めることが出来る。
近年、魚類学の研究によりサカナには【線視力】という釣りイトを見るのに適した特殊な視力が備わっている事が判明したそうです。
サカナの種類によって差はあるそうですが、通常の視力の2~3倍近く釣りイトを見ることが出来、釣りイトを見るだけなら人間の視力に匹敵する可能性があることが判明したそうです。
サカナには紫外線が見える
また、サカナの眼の網膜細胞には、色の識別に優れる錐体(すいたい)細胞というものがあり、人間には3種類の錐体細胞があります。
それぞれが認識する光の波長が異なり、人間は3つの現職をとらえ、その掛け合わせで色を判断しているということになります。
しかし、多くのサカナには、この錐体細胞が4種類あるので、色の識別に関しては人間以上で、人間には見ることのできない紫外線まで識別ができることが証明されています。
私たち人間が海に潜った場合、10mも潜れば数m先でさえ見ることが出来なくなってしまいます。しかし、紫外線は水深800メートルまで光が届くため、サカナは水中でも人間にとっては真っ暗な海の中でも、海底の起伏や、他のサカナのシルエットがはっきりと見えると考えられています。
動体視力もすごい
サカナの動体視力は人間の数倍優れているという実験結果があるようです。
ルアーフィッシングをしたことがある人ならイメージできるかと思いますが、サカナは一度狙った獲物をしっかりと追いかけることが出来ます。
これは動体視力が優れているからこそできることで、どれだけ頭が上下左右にぶれてもしっかりと対象を識別できるそうです。
また、対象が視界から外れることはほとんどなく、常に視界の中心で見ることが出来ます。この能力があるからこそサカナは小魚をしかっり追いかけることが出来、この力を逆に利用することで私たちはサカナを釣っているのです。