大海原で生きるサカナたちは様々な感覚を使って生活していますが、サカナの視力は人間とはちょっと異なった発達の仕方をしているようです。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
視野は広いが物の判別がつかない
私たちに人間は目が正面に2つあるため、真後ろまでは見ることが出来ませんが、サカナは頭の横のついているので片目で180度、両目でほとんど360度に近い範囲を見ることが出来ます。
しかし、人間の場合は両目で見た視界の重なりから距離感を感じることが出来ますが、死角が無い代わりに距離感がつかみにくくなるというデメリットもありようです。
多くの魚は視界がボヤけた状態でも見えないわけではないので、広い視野と聴覚や嗅覚を同時に使うことで餌や敵の情報を察知し、敵だと思えば逃げる、餌だと思えば近づいてきて確認するといった行動をするのです。
カメラ用のレンズで「魚眼レンズ」というものがありますが、これはサカナの視界を再現したというわけではなく、サカナの視界のように広いエリア(広角)を撮影できるレンズという意味が込められています。
視力にはそこまで頼っていないかもしれない
深海や洞窟に住むサカナの中には、目が退化しているものがいます。
しかし、そういった種類のサカナは目の退化に反比例するように、嗅覚や聴覚が達発しています。
真っ暗な世界では視力は全く意味がないためにこのような状態になったと考えられています。
もしかしたら、今後発見されるサカナの中には、新たに「音波」を見ることが出来るサカナや、「温度」を見ることが出来るサカナだっているかもしれません。
【サカナの眼】でどんなものが見えるのか。今後も、「目からウロコ」な新情報に期待です。
<近藤 俊/サカナ研究所>