4月になり春本番を迎えると、ヘラブナ釣りは野釣り場では乗っ込みの大型狙い、管理釣り場では両ダンゴ釣りのシーズンが始まる。今年の冬は特に寒かったので、水温が低くて釣果に苦しんだヘラ師も多いのではないだろうか。私もこの冬は厳しい釣りが続いた分、好釣果が期待できるこのシーズンを待ちわびていた1人でもある。今回は比較的に安価で道具がそろえられて、入門しやすい管理釣り場での春のヘラブナ釣りを紹介したい。
釣り方
まずはウキのエサ落ち目盛り(オモリで調整)を決める。
基本的には、トップ全体の2~3割沈んだ位置でいいだろう。
次に底釣りの場合は水深を測る。
いろいろな方法があるが、私はフロートと粘土を使う方法で、エサ打ち点の前後・左右の半径50cmぐらいも測り、底の状態を把握する。
宙釣りも底釣りも、エサの打ち始めになじみ幅を確認。
中細パイプトップのウキが3~4目盛りなじめば大丈夫だ。
宙釣りでウキがなじまない場合は、エサがタナまで持っていないので、エサ付けの圧力を強くしたり、やや大きく付けるといい。
エサをぶら下げた時、ハリがきちんと真ん中に位置していることと、エサの上部(チモト)へ丁寧に付けよう。
底釣りの場合、同じようにエサが持っていないこともあるが、タナが合っていない可能性も高い。
上バリがギリギリ底に着くタナの状態を「上バリトントン」と言い、一番ハリスが張っている状態なので感度がいい。
上バリトントンにしてエサを打ち、トップがたくさんなじむ場合は上バリが底から離れていて、逆になじまないときは上バリをずらし過ぎてしまっているので、理想のなじみ幅になるようウキの位置を調整する。
宙釣りの場合はエサ打ちのテンポが大切で、ヘラが寄ってくるまでは、ウキがなじみ切って上がり始めたら打ち返すようにしよう。
宙釣りならウキがなじみ切ったら10秒ぐらい、底釣りなら40~60秒ぐらいでウキが上がってくる付け方にしたい。
ヘラが寄ったり流れが出るとエサ持ちが悪くなってくるので、付け方や大きさを変えたり、練り込んでみたり、粘るエサを加えたりする。
エサ打ちを繰り返し、アタリが出るようになってきたら、小さくても力強くて素早く入るアタリを狙う。
「食い上げアタリ」や、なじんでいきウキが止まる「止めアタリ」などもあるが、基本的にはウキが沈むアタリを狙っていこう。
宙釣りは比較的に大きなアタリ(ウキが2~3目盛り入る)が多く、底釣りは小さなアタリ(ウキが1目盛り前後入る)が多くなる。
勢いがない大きなアタリは、ジャミや糸ずれアタリの場合が多いために見送る。
1回目のアタリでヒットしないときは、2回目、3回目とアタリを送ってからアワせるといい場合がある。
カラツンが多いときは、エサ付けを小さくして早く食べやすい大きさになるようにしたり、手水を打って少しずつエサを軟らかくするのも効果がある(手水とは、手のひらを水の中に入れて、その手でエサをかき混ぜて水分を加えてエサを軟らかくすること。少しだけ軟らかくしたい場合には指だけを濡らしたり、丸めてあるエサの場合は人さし指だけを濡らして調整することもある)。
アタリが出ないときはエサのタッチが合っていないか、エサの開きが悪い場合が多い。
その日その時によって、水分の多いしっとりしたエサがいいこともあれば、水分の少ないボソッとしたエサがいいこともある。
しっとりタッチにするなら、少しずつ手水を打っていけばいいし、ボソタッチにするなら『バラケマッハ/マルキユー』を振りかけてみるといいだろう。
エサが粘ってきた場合やカラツンが続いたときには、多めに手水を打ってかなり軟らかくしてからバラケマッハを追い足すと、バラケ性が高くなってエサ切れも良くなり、アタリが多くなったりヒット率が上がることもよくある。
エサの粘り加減とタッチを状況に合わせるのが一番面白い部分でもあり難しい点でもあるが、正直言ってエサの手直しについては文章にするのも難しいので、「習うよりも慣れよう」というところが大きい。
どんなにいいエサでも、エサ付け1つで釣れる・釣れないかが分かれるので、エサの大・小、エサ付けの形(涙型、ひし形、丸型など)を工夫して、その時の状況と自分に合った付け方を見つけよう。
こうすれば釣れるのではないかと考えて、釣れた時の楽しさは格別で、ましてや腹パンの良型ヘラが釣れた時は最高だ。
いいヘラが釣れる可能性の高いこのシーズンに釣行してみてほしい。
ワンポイントアドバイス
宙釣りの場合、アタリがないときはハリスを長くして、エサがゆっくり落ちていくようにすると反応が出やすい。
底釣りの場合、タナの調整がかなり重要になる。
最初に水深を測っても、ミチイトが伸びたり釣り場の水深自体が増減することもよくある。
アタリがないときやカラツンが多い場合は水深を測り直したり、ウキを1cm前後ずつ上下してベストなタナを探そう。
お勧め釣り場
桟橋の幅が広くて釣り場が安定している。
A~G桟橋まであり、深い場所では5mぐらい水深があるが、10尺前後のサオで底釣りできるポイントもたくさんある。
比較的に底釣りが安定している釣り場。
魚影は濃く、釣れるヘラは25~30cm前後が多くて時々35cmオーバーの良型も顔を出す。
また、食堂やトイレもあり、初心者も安心して釣りが楽しめる。
料金…… 一日1500円 (平日1000円)、午後から1000円。
<伊藤 晃/TSURINEWS編>