ルアーマンは誰しもが「マイ・ヒットカラー」を持っているのではないだろうか。今回は私の最終兵器カラーとも言える「紫」に焦点を当てて、その有効な理由を考えてみたい。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・井上海生)
釣れない時の最終兵器カラー
私はライトゲーマーであるが、「釣れない」ということが比較的少ない。しかし、手をかえ品をかえてもアタらないことも確かにある。先日も抜群の好条件で、4時間ノーバイトという洗礼を受けた。
その時、状況を切り裂いたのは、私にとって「特餌」カラーといえる、紫の1.5inchワーム。「釣れない時の最終兵器カラー」である。しかし、これは私だけのジンクスでもないと思う。
「紫が効く」というのは特にタチウオ釣りの世界ではよく聞く。そしてライトソルトでも「紫が効く」のはなぜなのか……自分なりに考えてみた。
タチウオジグに紫色が多い理由
タチウオは共食いする。そのタチウオの目には、仲間の体色が「紫」に見えているらしい。このような理由から、タチウオ特色として販売されているメタルジグにも紫色のものが多い。同じようにシルバーの魚体をしているアジも、おそらくタチウオには紫に見えているのだろう。
事実、タチウオが水中を泳ぎ回るシーズンの大阪南港では、紫のアジングワームにタチウオのバイトが頻発するのだが、アジングのリーダーは切られてしまう。いわゆる「歯魚」以外は、チヌでもシーバスでもアジングで狙うことが可能だ。この話から、アジにも紫が効く理由をもう少し踏み込んで考えてみる。
色の濃淡とシルエット
アジは色盲だそうだ。つまり色を識別することができない。タチウオについては、色をどこまで認識できるのか詳しく分かっていない。しかし、デイメタルでもナイトのワインドでも、紫やチャートやルアーの「きらめき」など、特定の条件により反応が良いということは、色の濃淡や明暗は感じることはできるのかもしれない。
つまり、アジは認識のしきい値(境界の幅)が比較的広い色盲に近いのではないだろうか。もしこの2種の魚が同様の色認識感覚を持っていたとしたら、アジにとってシラスなどの小魚は、色盲の目にも、紫に近い色(濃淡・シルエット)に見えているのかもしれない。
「パターン」の意味
今現在、ほとんどのアジはアミパターンだと言われる。しかし、アミパターン対応の釣法、「レンジキープ」や「止め」の釣法でアタリもしない時には、ベイトパターンを疑ってみる必要がある。
パターンというのは全体的な傾向である。つまり大きな群れの習性を言うものだ。あまり密な群れを作らない大型アジの群れは、このパターンにはまらない動きをしている。つまり、ベイトフィッシュを追っていることがある。
マイクロベイトパターンで好反応
特に、表層で頻繁にライズがあるにもかかわらず食わない時には、アジがシラスを捕食しているのかもしれない。一度、大阪南港で目に見えて水面にシラスが大量発生している状況で、紫の小魚を模したワームに好反応を示す状況があった。当然、お腹をさばいてみると、消化された小魚が出てきた。
「確実にアジはいる。でもヒットに至らない」、そんな時はマイクロベイトを捕食している可能性を考え、紫のワームを使用した巻きで攻めてみるといいかもしれない。ただ、マイクロベイトのアジはスレるのも非常に早いので注意が必要だ。
1尾でも多く釣るためには、リトリーブ速度に変化をつけることが肝要だ。最初はスロー、次は普通巻き、最後に速巻き……いずれも等速でハンドルを回して、魚に見切らせないようにする。
必ずしも紫ではない
しかし、勘違いしてはいけないのは「シラスがいる」イコール「マイクロベイトパターンで紫が効く」ではないことだ。たとえば2020年6月現在、大阪南港の常夜灯下ポイントには無数のマイクロベイトが湧いているが、これについている中型アジはいない。
初夏の豆アジはほとんどプランクトンパターンなので、釣り方はあくまで1.3inch程度の小さなワームの「止め」が有効である。
<井上海生/TSURINEWS・WEBライター>