ヘラブナの生息する水域は実に様々だ。今回は魚影の薄い瓜田ダムで、最も効率よくヘラを釣る方法を、『エサの使い方』という視点で試してみた。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・楢崎人生)
瓜田ダムは釣れれば尺上
2020年5月30日。南九州に梅雨入りが宣言された日の早朝。宮崎県宮崎市にある瓜田ダムを訪れた。午後からは雨の予報が出ていたので、日の出前のまだ暗い時間から竿を出す。このダムは釣れれば尺上だが、その『釣れれば』のハードルが激烈に高い。魚影が薄いのだ。
瓜田ダムへ通い始めて1年になるが、釣れた魚のデータを全て収集しており、サイズは勿論だが体形や病気、寄生虫の有無を記録している。データを確認すると釣れたヘラは何と全て尺上。平均サイズは34.76cmとなっている。魚影の薄さと引き換えの良型といったところだろうか。
久し振りの釣行は状況把握が肝心
緊急事態宣言で約2ヵ月間も釣行を自粛していたため、ダム湖の状況は分からない。水温は22℃。ハタキは完全に終わっていること、水温はヘラブナが活発にエサを追う温度に達していること、雨が近くヘラブナが浅いタナを回遊するであろうことから、竿は丈二、タナは一本程からスタートする。
当日のエサ戦略
従来であれば甘いエサから入り強力に魚を寄せるのが定石だが、今回は真逆のエサを作った。魚影が薄く回遊も少ないこのダムでは、甘いエサを手返しよく打つといたずらにジャミばかりが寄ってしまう。そこでヘラブナが回遊してきたタイミングでしっかりとしたエサがぶら下がっている状況を作るのが今回の作戦だ。
とはいえガチガチに硬いエサではなく、程よいハリ持ちと適度な開きの両方を兼ね備えたエサである。持たせるのには粘力を利用した。ガッテン100CC + 浅ダナ一本100CC + カルネバ50CC。
これをハリ付けする前によく揉み、チモトをしっかりと押さえる。カルネバを入れたエサは経時変化が激しいので、一度に多くは作らない。麩エサの賞味期限は2時間と言われている。経時変化の激しいエサは特に気を配りながら手触りや粘りで変化を察知して、状態が変わったと気付けば新たに作り直すことをお勧めする。
エサに一工夫で幸先良好!
日の出前である上に厚い雨雲が空を覆いあたりはまだ薄暗い。もじりは無いがヘラの活性は高いようで、数投でウキに反応が出た。
ヘラがいると確信するとエサに若干の工夫を凝らす。振り込む前に一度エサを水につけ、開きとヘラの吸い込みを重視する。さらに落とし込む際にいつもより高い位置から落とす。高い位置から落ちることにより、エサは早い段階から開き始める。こんな些細なことだけで、持たせるために作ったエサが喰わせ重視のエサに変化を遂げる。ヘラが寄るまではしっかりと持たせ、ヘラが寄ったら同じエサで喰わせる。
この戦術が奏功し、早朝に複数枚のヘラを釣ることが出来た。幸先良好である。ここである程度はタナとエサに対する正解を得られたとみて、その後は様々なエサを試してみることにした。