盲目の魚『ブラインドケーブ・カラシン』 人間の精神病との不思議な関係

盲目の魚『ブラインドケーブ・カラシン』 人間の精神病との不思議な関係

目が退化した魚「ブラインドケーブ・カラシン」。実は人間の精神疾患症状とよく似た行動をとることでも注目されているんです。

(アイキャッチ画像提供:アクアフォレスト)

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その他 サカナ研究所

ブラインドケーブ・カラシンとは?

目が皮膚で覆われて退化しているブラインドケーブ・カラシン。観賞魚として有名なネオンテトラと同じカラシン科に属している熱帯魚です。

原産地の中米では洞窟の中で生活しているため、魚体のメラニン色素が失われ白っぽい外見をしています。視覚の代わりに嗅覚や側線といった別の感覚器官が発達しており、周囲の様子を察知しながら泳ぐことができます。

盲目の魚『ブラインドケーブ・カラシン』 人間の精神病との不思議な関係盲目の魚「ブラインドケーブ・カラシン」(提供:アクアフォレスト)

成魚で8cmほどになり、イトミミズや人工エサも食べることから家庭でも気軽に飼育することができ、日本でも鑑賞魚として販売されています。本来洞窟に住む魚ですが、光がある環境でも飼育することができます。しかし、その見た目が災いしているのか、ペットとしてはあまり人気がないとのこと。

少し不気味な見た目をしていますが、どことなく神秘的な魅力を感じてしまうのは筆者だけでしょうか・・。

目が退化した理由

人間には考えられない進化を遂げたブラインドケーブ・カラシン。目が退化した理由は2つあると考えられています。

1、省エネルギー化

ブラインドケーブ・カラシンが生息しているのはエサが手に入りにくい洞窟内。そのため、エネルギー消費を最小限に抑えるために目が退化したと考えられています。ある研究によると目を退化させることで、15%ほどのエネルギーカットを実現しているそうです。(参照:『NATIONAL GEOGRAPHIC』

2、捕食される脅威が少ない

先述の通り、洞窟内は食料も乏しく、特に肉食の中~大型の魚は非常に住みにくい環境です。そのためブラインドケーブ・カラシンの分布環境には上位捕食者が生息しておらず、視覚から危険を察知する必要性があまり高くありません。つまり、目を退化させてもエサを見つけることさえできれば何とか生きることができます。

そもそも洞窟内の光がない環境下では目から入る情報量も少なく、生きていく上で視覚情報の重要度は高くないですよね。不要な視覚情報を切り捨てて生存率を上げてきた、ある意味合理的な魚なのかもしれません。

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